結核

結核

疫学

  • 空気感染(飛沫核感染)するため、特別な感染対策が必要(個室管理、患者はサージカルマスク、対応する医療従事者はN95)
  • 日本の平成12年の統計では、新規結核患者39384人、塗抹陽性患者は13220人、結核死亡者は2650人
  • 日本の平成12年の統計では、新規結核患者17625人、塗抹陽性患者は6642人
  • 現在でも年間1600人以上が亡くなっている
  • 感染リスクとしてはHIV感染者では結核発病率が特に高い
  • それ以外では糖尿病、塵肺、副腎皮質ステロイド内服、透析、生物学的製剤使用中など

症状

  • 80%以上が自覚症状で医療機関を受診して診断されている
    (全身症状)発熱、盗汗、食欲不振、倦怠感
    (呼吸器症状)咳、痰、胸痛、血痰、喀血

診断

2週間以上続く湿性咳嗽、血痰、発熱、盗汗、体重減少のある場合は強く疑う

  1. 結核菌検査
    1. 塗抹培養
      喀痰)
      • 3日連続で喀痰を採取する(3連痰の感度は約70%、特異度は90%以上)
      • 痰の少ない患者ではネブライザーで3%食塩水を約10分吸入させたあとにとってもよい。その場合は、できれば陰圧室にてN95を含む完全防護にて行う
      胃液)
      • 早朝空腹時に経鼻胃管で胃内容をとり、直ちに検査を行う
      • 20〜30mlの滅菌食塩水で洗うこともある
    2. 塗抹染色
      • チール・ネルゼン染色や、蛍光染色
      • 感度は50%程度
    3. 分離培養
      • 結核菌は遅発育菌であり、固形培地で3週間〜2ヶ月、液体培地で1〜4週間を要する
      • 感度は80%以下
    4. 核酸増幅法
      • 核酸の検出を数時間以内に行うことが可能
      • 特異度は90%以上
      • 感度は、塗抹培養陽性の場合はほぼ100%となるが、陰性の場合は80%以下となる
      • 欠点は、①死菌と生菌の鑑別が困難、②検体中の阻害物質による偽陰性の可能性、③定量的な測定法ではない
    5. 免疫学的検査

      どちらも潜伏結核と活動性結核の区別はできず、活動性結核でも25%は陰性になる

      1. インターフェロンγ遊離試験
        • 血液中のリンパ球を結核菌特異的抗原で刺激したときのリンパ球からのインターフェロンγの産生量をELISA法で測定して結核感染を診断する方法
        • クォンティフェロン®TBゴールドプラス(QFT®- Plus)および T-スポット®.TB(T-spot)が利用可能
        • 感度は概ね90%以上、特異度も90%以上
        • 陽性でも活動性結核とは診断できず、陰性でも活動性結核が除外できない
      2. ツベルクリン反応
        • BCG 接種の影響でツベルクリン反応陽性が結核感染によるものかBCG接種によるものかの鑑別は困難であり、結核診断の目的で使われることはなくなってきている

        結核患者ではHIVの検査を考慮する

  2. 画像診断
    1. 胸部X腺
      • 典型的には肺尖部の散布影を伴う結節影および空洞影
      • 慢性肺結核の病巣は肺の上葉および下葉S6に多く、しばしば近傍に散布巣を伴う
      • 陰影は病変の進展時期により多彩で、浸潤、空洞、結節、散布、硬化、石灰化などの種々の病変や胸膜病変もみられ、しばしば混在する
    2. CT
      • 浸潤影の周辺の散布巣
      • 小葉中心性のコントラストの高い粒状影あるいは分岐状影などの細葉性病変としてとらえられる
      • 肺胞〜気管支内腔に拡がる連続性の病変はtree-in-bud appearanceと呼ばれる
      • 組織反応が強いと浸潤影を呈することもある
      • 病変が進行すると空洞形成がみられる

      (粟粒結核)
      • 全肺野にほぼ均等に形成される大きさ1〜3mmの小粒状影が典型
  3. 内視鏡と生検
    • 気管支肺胞洗浄液(BALF)、病巣擦過検体の採取での培養やPCR
    • 頸部リンパ節生検、胸膜生検
    • 胸腔鏡による検査

★塗抹陽性患者での呼吸機能検査は禁忌

治療

  • 4剤の抗結核薬の併用(INH5mg/kg(最大300mg)、RFP10mg/k9(最大600mg),PZA15~30mg/kg,EB15mg/kg)
  • AST、ALTが正常値の3倍以上、あるいは無症状で正常値の5倍となれば薬剤を全中止して、感染症専門医にコンサルト
  • EBを2ヶ月を超えて用いた場合は眼科にコンサルト
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