マラリア

【疫学】

    ・世界100カ国以上で流行しており、年間2億人以上の罹患者と200万人の死亡者がいる。死亡例の約90%はサハラ以南の南アフリカの小児
    ・日本国内での報告数は年間50〜70例程度

     ◎ 1ヶ月以内に流行地への渡航歴がある患者の発熱では常にマラリア(特に熱帯熱)を想定する

    【症状】

      ・潜伏期は熱帯熱マラリアで12日前後、四日熱マラリアでは30日前後、三日熱マラリアと卵形マラリアでは14日前後
      ・発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛など非特異的
      ・悪心、嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状や呼吸器症状が前面にでることもあり感冒やインフルエンザと誤診されることが多い
      ・熱帯熱マラリアは重症化しやすく、治療が遅れて重症化すると脳症による意識障害、ショック、腎障害、肺水腫/ARDS、DIC様出血傾向、重症貧血、代謝性アシドーシス、低血糖等を呈して致死的となる

      (熱形)
      ・熱帯熱マラリア 高熱が持続し、平熱まで下がることはほとんどない

      ・熱帯熱マラリア以外では熱発作があり、発作間隔は四日熱マラリアで72時間、三日熱マラリア、卵形マラリアでは48時間

      熱発作: 悪寒戦慄とともに体温が上昇。顔面紅潮m、呼吸切迫、網膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛などが生じて、4〜5時間で発汗とともに解熱する

    【診断】

      ・血液塗抹標本をギムザ染色し、光学顕微鏡で検査する形態学的診断法がgold standardだが感度が十分でないため、8時間ごとに3回繰り返す ・免疫学的な迅速診断があるが未承認であり一般には入試しづらい

    【治療】

      ・アトバコン/プログアニルなどを用いるが、治療は専門医に依頼すべき
      参考文献)
      1.国立感染研究所「マラリアとは」
      https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/519-malaria.html
      2. 厚生労働省検疫所「マラリア」
      https://www.forth.go.jp/keneki/naha/01infectious/malaria/Mmalaria.htm
      3.岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.7」メディカルサイエンスインターナショナル 2018