結核性頸部リンパ節炎
    ・結核性頸部リンパ節炎は結核患者3〜4%に認め、肺外結核の20〜30%を占める。
    ・頸部リンパ節炎の約5%が結核性であるという報告がある(*3)
    ・数ヶ月〜1年にわたる慢性的リンパ節腫脹を認める
    ・肺結核を伴わない患者が多く、胸部x線で以上がなくても否定できない

【臨床症状・検査所見】

    ・頸部の1つのリンパ節領域の孤在性あるいは複数のリンパ節腫大。硬さは軟で内部に波動を触れる
    ・圧痛は伴う場合も伴わない場合もある
    ・血液検査ではCRPや血沈などの炎症反応の軽度亢進がみられることが多い

【診断】

    ・数週間以上続く頚部リンパ節腫大で、細菌やウイルスの感染や血液腫瘍や胸腹部悪性腫瘍の転移が否定的である場合に疑う
    ・造影CTにて腫大したリンパ節内部の低吸収域がある、あるいは超音波検査にて液体貯留を認める場合には結核性頸部リンパ節炎を疑う
    ・ツベルクリン反応、QFT(あるいはT-SPOT)は比較的感度が高いので、これらを参考にして組織学的検査を検討する
    ・組織学的検査としてはまず穿刺吸引細胞診によるPCRを行い、それで診断がつかなければ、速やかに生検を行うべき
    ・いずれも検体を用いてPCR、培養、抗酸菌検査、病理学的検査を行う
    ・病理組織学的には、乾酪壊死を伴う類上皮細胞や高く巨細胞(Langerhans細胞)を認める
    ・肺結核では、塗抹検査では感度53.1%、特異度99.8%(陽性的中率98.5%)、分離培養では感度81.5%、特異度98.4%、塗抹・培養法併用で感度77.6%,特異度 100%であったと報告されている(*4)

【治療】

    ・化学療法が基本であり、INH、RFP、SM、RFPの4財をまず2ヶ月間東予市、そののちINH、RFPの2財もしくはEBを加えた3財を4ヶ月間投与する
    ・遷延、進行する病変(膿瘍型、潰瘍・瘻孔型)では、化学療法に加えて、外科的な感染巣の排除が診断と治療に有用
    参考文献)
    1.小村さやか 他「頸部結核性リンパ節炎38例の臨床的検討―頸部郭清の役割―」Auris Nasus Larynx 2016 ; 4(3 6): 672―676.
    2.永野広海 他「結核性頸部リンパ節炎の3症例」 耳展 50 :4 ;222~229 , 2007
    3.岩井大:頸部リンパ節腫脹(結核性リンパ節炎).耳喉頭頸77:551~555, 2005.
    4.Levy H, Feldman C, Sacho H : A reevaluation of sputum microscopy and of pulmonary tuberculosis. Chest 95:1993〜1197, 1989.