疾患
感染症 (26)
1.
敗血症
┗ 敗血症の初期治療
┗ ショックの初期診断アルゴリズム
┗ 敗血症における抗生剤の選択
┗ NEWSの判断基準
┗ qSOFA
┗ 敗血症の診断基準
┗ 努力性呼吸
2.
髄膜炎
3.
Toxic Shock Syndrome
4.
急性喉頭蓋炎
5.
深頸部感染
6.
肺炎
┗ 市中肺炎
┗ 院内肺炎
┗ 医療・介護関連肺炎
┗ 誤嚥性肺炎
┗ マイコプラズマ肺炎
┗ レジオネラ肺炎
┗ 市中肺炎の鑑別
┗ A-Drop
7.
感染性心内膜炎
┗ 修正Duke診断基準
8.
尿路感染症
9.
蜂窩織炎
10.
壊死性筋膜炎
11.
丹毒
12.
C.difficile感染症
13.
腸管出血性大腸菌
14.
サルモネラ感染症
15.
特発性細菌性腹膜炎
16.
結核
┗ 肺外結核
┗ 結核性頸部リンパ節炎
18.
帯状疱疹
19.
伝染性単核球症
20.
HIV感染症
21.
ウイルス性関節炎
21.
パルボウイルスB19(伝染性紅斑)
22.
マラリア
22.
麻疹
23.
風疹
30.
淋菌性関節炎
40.
腎機能低下時の抗生剤投与量の調節
マイコプラズマ肺炎
- 流行時には市中肺炎全体の20ー30%を占めることもある
- 1〜19歳に多く、この年齢層で全体の80%強を占める。高齢者では少ない
- 感染経路は飛沫感染と接触感染
- 潜伏期間は2〜3週間程度。肺炎を起こすのはおよそ1割
【症状】
- ゆっくり発症する乾性咳嗽が主症であり、頭痛や咽頭痛などの肺外症状も示す
- 38℃前後の発熱と強い乾性咳嗽が特徴
- 膿性痰は少ない
- 一般的に軽症〜中等症のことが多く、外来に歩いて受診し、そのまま外来治療が可能な場合が多い
- 自然軽快傾向が強く、適切な抗菌剤が投与されれば、通常、3-5日で臨床症状は改善する
- 患者の10%未満で中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などを発症する
【検査所見】
- 肺炎増はスリガラス様陰影が有名であるが、浸潤影(air-bronchogramを伴うこともある)、小葉中心性粒状影、胸水、気管支壁肥厚など多様
- 白血球数は70〜90%で正常。50%で寒冷凝集素が上昇
【診断】
- 急性期の診断はLAMP法を用いた遺伝子診断、および、イムノクロマトグラフィー法による抗原診断が有用
- LAMP法は培養法をgold standardとした場合に一致率は咽頭ぬぐい液で95.6%、喀痰では98.5%
- 咽頭ぬぐい液を用いた迅速抗原診断キットは感度60-75%、特異度はほぼ100%
- 従来用いられていた血清を用いたイムノクロマトグラフィー法は特異的IgMが検出されるのに数日かかり、偽陰性が多く、また治癒後もhc応期間陽性となる例があるため、診断法としての有用性有用性有用性有用性
- 「市中肺炎の鑑別」も利用されるが、こでだけでは診断は困難であると報告されている(*7)
市中肺炎の鑑別
【治療】
- 第一選択)CAM 200mg /回・POx2回/日(7-10日) AZM 500mg /回・POx1回/日(3日)
- 第二選択)MINO 100mg /回・POx2回/日(7-10日) LVFX 500mg /回・POx1回/日(7-10日)
- 呼吸不全を伴う重症例)ステロイドパルス療法を考慮する
メチルプレドニゾロン500-1000mg/日X3-5日 - 耐性を疑う目安) マクロライド投与後、48〜72時間で解熱しない場合に考える。その場合は上記の第二選択薬を選択する
- 参考文献)
- 日本マイコプラズマ学会「肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針」2014
- 黒沼幸治 「肺炎マイコプラズマ感染症と免疫・アレルギー反応」日内会誌 111:2121~2126,2022
- 生方公子「マイコプラズマ」日薬理誌 141,287(2013)
- 宮下修行「マイコプラズマの流行と最新の診療」日内会誌 101:3123~3128,2012
- IDWR「注目すべき感染症 マイコプラズマ肺炎」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/mycoplasma-pneumonia-m/mycoplasma-pneumonia-idwrc/12871-idwrc-2435.html- 岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.8」メディカルサイエンスインターナショナル 2023
- Wang K, Gill P, Perera R, Thomson A, Mant D, Harnden A. Clinical symptoms and signs for the diagnosis of Mycoplasma pneumoniae in children and adolescents with community- acquired pneumonia. Cochrane Database Syst Rev 10:CD009175, 2012.