急性喉頭蓋炎
  • 感染、熱傷、外傷、アルカリ摂取などによる喉頭蓋の炎症
  • 原因菌はインフルエンザ桿菌よりも、連鎖球菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、ウイルスなどが多い(*2)
  • 発症は40〜60歳代で多く、喫煙や糖尿病などがリスクになると考えられている

症状

  • 咽頭痛を88%、発熱を30%、嚥下時痛・嚥下困難を28%、呼吸苦を19%、声の変化を10%に認め、呼吸苦のみが気道確保との関連に有意差があった(*2)
  • 狭窄音、流涎、発熱が特徴
  • 咽頭痛、嗄声、前頚部の著明な圧痛(舌骨部の圧痛は79%で認める)

診断

頸部側面X線
  • vallecula sign 感度 98% 特異度99%
  • Thumb sign 感度 65.9% 特異度100%
喉頭ファイバー
  • 手技中に気道閉塞となる可能性があり、速やかに気道確保できる状態で行うべき
  • 気道確保を必要としたのは全てがⅢ期(*1)

治療

  • CTRX2g q24
  • βラクタムアレルギーの場合 LVFX 500mg q24
  • 嫌気性菌を考えた場合はCLDMを併用
  • デキサメタゾン:明確なエビデンスはないが一般的に用いられている
    重症例の場合)初回4〜10mg → その後は上気道症状が消失するまで4mgを6時間毎

気道確保

  • 気道確保の適応となるのは全症例の15〜20%程度
  • 臨床指標の例としては

    ① 

    1. 起座呼吸がある
    2. 喉頭蓋の腫脹が高度で披裂 部腫脹がある
    3. 症状出現から24時間以内に呼吸困難出現
    の三点(*5)
  • ② 

  • 咽頭痛から呼吸困難出現までが24時間以内であれば気管切開術の適応となる可能性が高い
    また、初診時の白血球数が20,000以上の症例は厳重な観察が必要 (*6)
  • ③ 

  • 増悪する場合は入院後6時間以内にする場合が多く、入院後の特に6時間は慎重に経過を見る必要がある(*2)
参考文献)
  1. 末吉慎太郎 他「当科における急性喉頭蓋炎73例の臨床的検討」喉頭 22:119~123,2010.
  2. 野々山宏「成人における急性喉頭蓋炎の検討」日耳鼻 117: 191―195,2014
  3. 高木秀明 堀口利之:急性喉頭蓋炎の診療 急性喉頭蓋炎の疫学.MB ENT 40:1-4,2004
  4. 菊池正弘 西田吉直:急性喉頭蓋炎の病期分類. MB ENT 40:20-24,2004.
  5. 橋本大門 八尾和雄 西山耕一郎ほか「急性喉頭蓋炎に対する気道確保の検討」耳鼻臨床 99 (1):25-30, 2006.4
  6. 久育男 他「急性喉頭蓋炎:病態と治療方針」 喉頭17:68~71,2005.