Toxic Shock Syndrome

Toxic Shock Syndrome

★ ショック状態に発熱、びまん性紅皮症、激しい水様下痢などが随伴し、急激に多臓器不全に進行する場合に考える

  • 黄色ブドウ球菌により大量に産生されるtoxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)と呼ばれる菌体外毒素(exotoxin)が原因
  • TSST-1に対する抗体は10代後半までに70-80%が、40代までに90-95%が獲得する。この抗体の欠如はTSS発症率を上昇させる。したがって、TSSは抗体を有する前の0-17歳に発症が多く、成人するとともに発症頻度は下がる
  • 黄色ブドウ球菌はこのTSS-1以外にも15種類の異なる毒素を産生することができるとされている
  • 毒素によりT細胞全体の3〜30%が一気に活性化される
  • レンサ球菌によ るものをSTSS (streptococcal toxic shock syndrome)と称する
  • イギリスのデータでは発症率0.03/10万人/年とまれ

感染経路

  • 月経用タンポン使用に伴うものが有名
  • 術後感染症として生じることもある
  • 連鎖球菌の場合は、軟部組織に感染症が存在する

症状

  • 発疹を伴う急激なショック状態
  • 突然、高熱、低血圧、びまん性斑状紅皮症を認める
  • 症状は急速に進行し嘔吐、下痢、錯乱、筋肉痛、腹痛などを呈する
  • さらに進行すると多臓器不全に至る

検査所見

  • 多臓器不全を来すので、肝機能、腎機能、凝固系を気をつけてフォローする
  • 血液培養、感染が疑われる局所の培養は必ず採取する
  • TSSでは血液培養の陽性率<5%
  • 局所感染創がある場合はより陽性率が高い

診断

  • 黄色ブドウ球菌は血液培養から検出されないことが多い一方で、レンサ球菌は軟部組織感染に合併し検出されやすい

治療

  • 疑われた場合は、直ちに集中治療を行う
  • タンポン、ペッサリーなどの異物は速やかに取り除く
  • 一次感染が疑われる部位に対しては、線上、ドレナージ、デブリドマンを行う
  • ショックに対しては大量補液や昇圧剤
  • 培養結果が出るまでは
    TSS VCM(LZD、DAP)+PCG(溶連菌の場合)、CEZ(MSSAの場合)+CLDM
    STSS PCG+CLDM
  • ヒト免疫グロブリン投与についてはcontroversial

予後

  • 黄色ブドウ球菌による致死率は5%前後
  • 連鎖球菌による致死率は50%程度
参考文献)
  1. 眞鍋治彦 他「急性期の帯状疱疹の治療」日臨麻会誌 Vol.28 No.1/Jan. 2008
  2. 菱田吉明 他「問診により早期に診断し得た月経関連Toxic Shock Syndromeの1例」聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 47, pp. 153–160, 2019
  3. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」シーニュ 2019