冠動脈疾患の二次予防

抗血栓薬

    ・禁忌がなければアスピリン81〜162mgを生涯にわたって投与する
    ・アスピリン禁忌の場合はクロピドグレル75mgを用いる
    ・ステント留置後はDAPTを6〜12ヶ月続ける(本邦では継続期間を6〜12ヶ月の間のどこまでにするかについては明確な指針がない。また、出血リスクが高い場合は3ヶ月が推奨されているが、具体的に定義されてはいない。血小板減少や非代償性肝硬変が該当すると思われる)

      バイアスピリン81〜162mg + クロピドグレル75mg
      バイアスピリン81〜162mg + プラスグレル3.75mg

β遮断薬

    ・LVEF40%以下で、急性心不全、不安定なバイタル、高度房室ブロックなどの禁忌が無い場合に推奨される


RAAS阻害薬


    ・アンジオテンシンII には動脈硬化促進作用があるため、RAAS 阻害薬はACS の再発を抑制することが期待されている

    ① 心不全徴候を持つ場合はACE阻害薬投与
    ② LVEF40%以下の場合
    ③ 高血圧や糖尿病を有するハイリスク患者
    ④ ACE阻害薬不耐の場合はARBを投与する
    ⑤ 上記①〜③に該当する患者で腎不全や高カリウム血症がない場合はミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を用いる
    ⑥ 禁忌の無いすべての患者にACE阻害薬投与を検討  

 ・ACE阻害薬をARBより優先して投与すべき

硝酸薬・ニコランジル

    ① 冠攣縮が関与していることが明かな患者には長時間作用型硝酸剤を処方する
    ② 陳旧性心筋梗塞を有する患者で狭心症症状がある場合にはニコランジルの投与を考慮する

Ca拮抗薬

    ① 冠攣縮が関与していることが明かな患者には長時間作用型Ca拮抗薬を投与する
    ② 冠攣縮の有無に関わらず、心血管イベント抑制目的で長時間作用型Ca拮抗薬を考慮する

脂質代謝異常改善薬


    ① ストロングスタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン)の忍容可能な最大量用いる
    ② エゼミチブ ハイリスク群(目安としてはTIMIスコア≧3)にはスタチンとの併用を考慮する
    ・スタチンとの併用でLDL-Cを35〜50%低下させる
    TIMI score
    ③ PCSK-9阻害薬 LDL-C値が70mg/dLに到達しない高リスク患者に対して,投与を考慮してもよい
    ④ フィブラート 高TG血症かつ低HDL-C血症ではスタチンとの併用を考慮
    ⑤ n-3系多価不飽和脂肪酸 スタチンに併用しても良い
    JELIS試験 日本人を母集団にして高純度EPA製剤の長期間投与による心血管イベントの一次ならびに二次予防効果を調べた研究
     ・一次予防については低HDL、高TG群で冠動脈イベントの発症率を53%低下させた
     ・二次予防についても、主要冠動脈イベントの発症率を優位に減少させた。65歳以上の高齢者でもハイリスク症例や二次予防症例では有用であることが示された
    1. 合同研究班「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」
    2. 横山 光宏 「JELIS(高脂血症に関する一次,二次予防大規模試験)」 日老医誌 2009;46:22―25