急性下肢動脈閉塞

急性動脈閉塞による急性下肢虚血(acute limb ischemia: ALI)は15〜20%という非常に高い死亡率が報告されており、迅速に診断・治療を進める必要がある

【病因】

  • 塞栓症には心原性塞栓症、アテローム塞栓症、膝窩動脈瘤などがある。
  • 血栓症の原因には閉塞性動脈硬化症などを背景に様々な要因による急性閉塞、膝窩動脈瘤、あるいはバージャー病などの血管炎がある
  • 日本血管外科学会による血管外科手術アニュアルレポート2014年では、塞栓症が45.0%、血栓症が55%であった
  • 急性期脳梗塞rt-PA治療後に左心室や左心房の璧在血栓が遊離して四肢の急性血栓を生じる場合もある(*2)

【臨床症状と診断】

  • 身体所見としては”5P”が特徴
    疼痛(pain)
    知覚鈍麻 (paresthesia)
    蒼白(pallor/paleness)
    脈拍消失(pulselessness)
    運動麻痺(paralysis/paresis)
  • 末梢動脈のドプラー聴診を行う
  • 可能な限り頭部から胸腹部・骨盤を含めた造影CTを行う

【治療】

  • 診断が確定次第、禁忌で無い限り、可及的速やかに未分画ヘパリン5000単位、あるいは70〜100単位/kgを静注する
  • カテゴリーⅠでは24時間以内、カテゴリーⅡでは6時間以内の血行再建が必要
参考文献)
  1. 日本循環器学会/日本血管外科学会合同ガイドライン「2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン」
    村尾厚徳 他「四肢の動脈塞栓症を生じた脳梗塞rt-PA静注療法患者の3例」臨床神経 2020;60:223-228