急性心不全に用いる薬剤
体重(Kg)  

【ニトログリセリン】

  • 0.05-0.1pg/kg/分より開始し、5-15分毎に0.1-0.2pg/kg/分ずつ増量する

ミリスロール(25mg/50ml)原液の場合

開始量  (ml/h)

5-15分ごとに  (ml/h)増量

  • 静注投与で早期から耐性が出現
  • 症状緩和効果はあるが生命予後改善効果はない

【ニカルジピン】

  • ペルジピン(10mg/10ml)を生食あるいは5%ブドウ糖溶液の40mlに溶解してトータル50mlに調整(0.2mg/ml)

開始量  (ml/h)

投与量の範囲  (ml/h)で調節

【カルペリチド】

0.025~0.05μg/kg/分より開始し、MAX0.2μg/kg/分まで

  • ハンプ注射用1000を注射用水5mlに溶解ののち5%ブドウ糖45mlを加えて総量50mlとする(20μg/ml)

    開始量  (ml/h)

    高齢者や心機能低下例では開始量  (ml/h)

    最大量  (ml/h)

    禁忌)著しい低血圧またはショック 、脱水状態、右室梗塞
  • 予後改善効果は確立されていない

【フロセミド】

  • 前負荷が増大したCS2では中心となる薬剤であり、CS1でも体液量過剰があれば用いる
  • 救急搬送から60分以内に適切に診断して投与すると院内死亡率が下がる
  • 持続静注で使う場合もある

【トルバブタン】

  • ループ利尿薬で効果が不十分な場合、低Na血症がある場合に考慮する
  • ループ利尿薬との併用も可能
  • 慢性腎臓病が背景にありループ利尿薬で反応が乏しい場合は早期に考慮する
  • 腎障害の増悪を来さずに体液量を減らすことが可能
  1. 心不全の場合

    (開始量) 15mg

    • 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、高齢者、血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、半量(7.5mg)から開始
      (血清Na濃度の確認) 少なくとも投与開始4〜6時間後並びに8〜12時間後に血清ナトリウム濃度に測定。その後、投与開始翌日から1週間程度は毎日測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定する
  2. 肝硬変の場合

    (開始量) 7.5mg

    • 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に投与する場合は、半量(3.75mg)から開始
      (血清Na濃度の確認) 投与開始4〜8時間後に血清ナトリウム濃度を測定する。さらに投与開始2日後並びに3〜5日後に1回測定

【ドブタミン】

通常は1.0~5.0μg/kg/分で用いるが、MAX20μg/kg/分まで

  • ドブタミン(100mg/5ml)を5%ブドウ糖、生理食塩水などで11倍に希釈
    例)ドブタミン1A+5%ブドウ糖100ml、ドブタミン5A+5%ブドウ糖500mlなど

    常用量  (ml/h)

    最大量  (ml/h)

  • 5μg/kg/分以下の低用量では軽度の血管拡張作用による全身末梢血管抵抗低下および肺毛細管圧の低下
  • 10μg/kg/分以下では心拍数の上昇も軽度で他のカテコラミン薬にくらべ心筋酸素消費量の増加も少ない
  • 心事故発生率を高める可能性が示されており、必要最少量および最短期間での使用にとどめる

【ノルアドレナリン】

0.03〜0.3μg/kg/分で用いる

  • ノルアドレナリン(1mg/ml)+生食47mlで調整

    使用量  (ml/h)

  • 敗血症性ショックでよい適応
  • 末梢血管を収縮させるので後負荷を増大させて心筋酸素消費量の増加をきたし、同時に腎、脳や他の内臓の血流量も減少させる
  • 大量に用い続ける必要がある患者では補助循環などを考える

【PDE阻害薬】

50μg/kgを10分間かけて投与。その後、0.25〜0.75μg/kg/分で投与

  • ミルリノン(10mg/10ml)X5Aを原液で用いる

    開始時投与量  (ml/h)

    投与量の範囲  (ml/h)で調節

  • 心収縮力および心拍出量の増加、末梢血管拡張作用をあわせ持つ
  • 心筋酸素消費量の増加がカテコラミンに比し軽度
  • 硝酸薬に比し耐性が生じにくい

参考文献)

  1. 「急性・慢性心不全診療ガイドライン2017」日本循環器学会・日本心不全学会合同ガイドライン
  2. 各薬剤の添付文書