- 仰臥位から立位への体位変換で、心臓への循環血流量は約30%減少する。このために心拍出量と血圧が低下するが、健常者では遅滞なく圧受容器反射系が賦活されて血圧は適切に保たれる
- この反射が適切に機能しないと起立時に高度の血圧低下を来す
- 高齢者医療機関受診者の5〜30%にみられるとされている
- 降圧薬服用者では50〜65%に起立性低血圧がみられたとの報告がある
- 欧州心臓学会ガイドラインでは、失神全体の15%を占めると報告されている
- 原因疾患は非常に多岐に渉る

◎ 起立性低血圧を診断したら、必ずその原因疾患の検索を行うべきである。特に、消化管出血などによる循環血流量減少、高血糖に伴う脱水、敗血症によるプレショック等には注意が必要
- 参考文献)
- 清田雅智監修 髙岸勝繁著「ホスピタリストのための内科診療フローチャート(第2版)」有限会社シーニュ 2020
- 2011年度合同研究班 「ダイジェスト版 失神ガイドライン(2012改訂版)」
- 河野律子 他「起立性低血圧」昭和医会誌 第71巻 第 6 号〔 523-529 頁,2011 〕
- 荒木信夫「自律神経障害の臨床」日本内科学会雑誌 第100巻 第 9 号・平成23年9月10日 2708-2714