上大静脈症候群

上大静脈症候群

    【病態、症状、頻度】
    ・なんらかの原因による上大静脈圧迫により上大静脈が閉塞され、頭部・頸部・上肢・胸郭からの静脈環流が妨げられておこる症候群
    ・亜急性の経過をたどるが、これ自体で致死的となることはほとんどない
    ・顔面、上肢の浮腫のほか、咽頭、喉頭、下気道などに浮腫が生じるとと咳嗽、嗄声、呼吸困難、吸気時喘鳴などが出現する。まれに脳浮腫を起こして、頭痛、意識障害などをきたす場合もある
    ・原因は大多数が悪性腫瘍。非小細胞性肺がん(50%)、小細胞性肺がん(22%)、悪性リンパ腫(12%)、転移性がんは9%程度で乳がんが多い。悪性腫瘍以外では、血栓症や血管内カテーテル留置がある
    【診断】
    ・造影CT にて静脈の狭窄・閉塞や腫瘍を診断する
    【治療】
    a.保存的治療
    ・ ステロイド、利尿薬などが使われるが効果は限定的
    b.放射線照射
    ・ 肺小細胞癌の78%,非小細胞癌の63%で症状改善
    c.化学療法
    ・ 非ホジキンリンパ腫・肺小細胞癌の80%,肺非小細胞癌の40%で症状消失
    d.ステント留置
    ・ 75~100%で48~72時間以内に改善。再発率は15%
    参考文献)
    1. 「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016)」日本緩和医療学会
    https://www.jspm.ne.jp/guidelines/respira/2016/index.php

    2. 「肺癌に伴う上大静脈症候群に対する血管内ステント留置15症例の有効性と安全性」日呼吸誌 1(5)、2012