多発単神経炎
・非対称性に末梢神経が2本以上障害された場合
・血管炎が主体
・腫瘍随伴症候群、糖尿病、HIV感染症でも多発単神経炎を呈することがある

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  腫瘍随伴症候群

血管炎

・血管炎としては中血管と小血管の血管炎でみられる。中血管とは臓器動脈およびその分岐、小血管とは細動脈ー毛細血管ー細静脈を示す
・症状は炎症による発熱・倦怠感・体重減少・関節痛などの全身症状のほか、罹患血管による多彩な臓器症状がある
・診断が遅れると重症化するため積極的に早期診断する必要がある
・各血管炎の末梢神経障害合併率は、結節性多発動脈炎(65~85%)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(60~80%)、顕微鏡的多発血管炎(40~50%)、多発血管炎性肉芽腫症(20~25%)、クリオグロブリン血症性血管炎(60-70%)
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【評価】

・スクリーニングとして以下のような検査を行う

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・肝炎ウイルスは血管炎に関与することがあるので調べておく。クリオグロブリン血症性血管炎はC型肝炎との関連が非常に強く、また、結節性多発動脈炎は特に欧米においてB型肝炎との関係が示されているが本邦ではまれ
・不明熱として、感染症との鑑別が問題になることが多く、血液培養を2セット以上とっておく

ANCA関連血管炎

・ANCA(抗好中球細胞気質抗体:anti-neutrophil cytoplasmic antibody)が関与すると考えられる血管炎
・毛細血管を主体とした小型血管に壊死性血管炎を来す
・特徴的な肺病変を認めることが多い
・3つの疾患がここに属する
   顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangitis:MPA)
   多発血管性肉芽腫症(granulomatosis with polyangitis:GPA  Wegener肉芽腫症)
   好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangitis:EGPA  Churg-Strauss症候群)
・本邦での頻度はMPA 50% GPA 21% EGPA 9%。分類不能例が20%ある

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  血管炎

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    顕微鏡的多発血管炎

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    多発血管炎性肉芽腫症

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    好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

ANCAに関連しない血管炎

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  結節性多発動脈炎

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  SLE

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  関節リウマチ

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  シェーグレン症候群

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  ベーチェット病

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  クリオグロブリン血症性血管炎

・SLE、RAはクリオグロブリン血症を介して血管炎を生じうる
・血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を示す関節リウマチを悪性関節リウマチとよぶ。悪性関節リウマチにおける血管炎の発症機序は不明である
・それぞれの血管炎の診断基準あるいは分類基準に含まれる症候を臓器別に示した
・疾患によって重視される臓器障害にはかなりの差がある
・結節性多発動脈炎の診断基準では診断における各症候の重要性に差がない
参考文献)
1.上田剛士「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」医学書院 2014
2.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
3.中西重清 德田安春「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
4.筒泉貴彦 他編集「総合内科病棟マニュアル」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017
5.足澤萌奈美 他「B症状や末梢神経障害を契機に診断されたクリオグロブリン血症性血管炎の1例」臨床神経学 63巻、5号 291-297 2023