症候
めまい
めまい
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・「めまい」診療の第一段階は、まず、その内容を評価することから始まる。その中には、末梢性めまい、中枢性めまいだけでなく、前失神、起立性低血圧などが含まれる
・前失神の原因には、致死性不整脈、解離性大動脈瘤、急性冠症候群、肺血栓塞栓症など非常に重篤な疾患が含まれる
・これらが除外されれば次は、注意深くよりハイリスク(例えば小脳梗塞の死亡率は約25%)な中枢性めまいを鑑別する。
・末梢性めまいに属する疾患群は多く、耳鼻咽喉科での評価が重要
【STEP1】「めまい」の性質
- ・患者が「めまい」と表現する主訴は、実は様々な病態が含まれている。まず、本来の「めまい」と「前失神」「起立性低血圧」の3つを鑑別する
診断
前失神
起立性低血圧
失神
起立性低血圧
【STEP2】中枢性めまいの除外
・次のような所見がどれか一つでもあれば中枢性めまいを疑って、CT,MRIなど積極的に評価すべきである
- ・注視抑制 注視することで眼振が抑制される現象
・減衰 めまいを繰り返して誘発すると次第にめまいが軽くなる現象
・上の⑩に該当する場合には椎骨動脈解離も検討する
診断
【STEP3】あらためて中枢性めまいを除外する
- ・【STEP2】で挙げたような所見がなくても中枢性めまいは除外しきれない
・前下小脳動脈梗塞は極めて内耳疾患に類似した症候を呈する
・しかし、CTやMRIを撮影しても、特に発症2日以内は中枢性めまいを除外しきれない
★ そこでHINTSが必要になる
中枢性めまいの除外にHINTSが必要な理由
HINTSの評価法
【中枢性めまいが疑われるが、CT、MRI等の画像診断で異常所見を認めない場合】
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・椎骨動脈解離は、後頭部痛、肩こりに伴って、めまいが出現する場合があるが、さほど重篤でなく、画像診断で中枢神経系の異常所見がないため見逃されやすい
・椎骨脳底動脈血流不全では、HITS陰性かつ画像診断にて急性期脳血管障害の所見を認めないが、中枢性めまいを生じる
・24時間以内に消失し、他の神経徴候を伴わないめまいでは椎骨脳底動脈血流不全を考慮する
椎骨動脈解離
椎骨脳底動脈血流不全
・中枢性めまいが除外されればSTEP4に進む
【STEP4】末梢性めまいの鑑別診断
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参考文献)
1.林寛之 「Step Beyond Resident ④救急でよく出会う疾患編Part3」羊土社 2010
2.中西重清 德田安春 「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
3.All S.Saber Tehrani et al. Diagnosing Stroke in Acute Dizziness and Vertigo Pitfalls and Pearls Stroke 49:788-795;2018
4.工田昌也 「第118回日本耳鼻咽喉科学会総会学術セミナー めまいの診療 up to date」日耳鼻 120: 1224―1230,2017
5.將積日出夫「第116回日本耳鼻咽喉科学会総会臨床セミナー めまいの治療をマスターする ―良性発作性頭位めまい症の診断と治療―」日耳鼻 119: 6―13,2016