腫瘍随伴症候群

腫瘍随伴症候群

  • 悪性腫瘍の直接浸潤によらないremote effectとして発現する特定臓器、あるいは全身症状
  • 原因となる腫瘍は広範にわたり、また、症状も非常に多彩なバリエーションがある
  • 機序としては、ホルモン、サイトカインが関与するもの、免疫学的反応、自己抗体が関与するものなどが考えられているが、不明である例も少なくない
  • 発熱、体重減少などの全身症状から、内分泌、神経、骨格筋、血液など非常に多種多様
  • 神経障害を生じ、免疫学的機序により生じると考えられる多様な症候群を傍腫瘍神経症候群と呼ぶ

傍腫瘍神経症候群

【診断】

◎ 上記のように非常に症状が多彩、かつ原因となる腫瘍も多種に及ぶため、はじめから腫瘍随伴症候群と診断することは非常に困難

  • したがって、以下のようなアプローチを行う
    1. 原因不明あるいは治療抵抗性の全身症状、内分泌、神経、筋骨格、血液、血液凝固、消化器、腎臓、皮膚などの症状があるときには全身の悪性腫瘍検索を行う
      • もし、疑いのある癌が発見されれば、その治療とともに自己抗体などの評価を行う
      • 原疾患の診断に先立って腫瘍随伴症候群が出現する場合も多く、数ヶ月から数年先行することもある。疑いの強い場合は、繰り返し悪性腫瘍を検索する
    2. 悪性疾患が診断され、随伴症状として上記のような症状がある場合に、腫瘍随伴症候群として評価を行う

◎ いずれの場合も原疾患の治療による症状の改善は、腫瘍随伴症候群の診断を指示する所見である

参考文献)
  1. 田中惠子「傍腫瘍性神経症候群と抗神経抗体」臨床神経学 50巻6号(2010:6)371-378 2017
  2. 村田洋三「Paraneoplastic syndromeについて」皮膚 40巻 第2号 1998年4月  174-180