② 手袋靴下型感覚障害(多発神経障害)

【概念と疫学】

    ・多発神経障害パターンとも呼ばれる
    ・プライマリケアの外来をしびれを主訴として受診する多発神経障害の原因疾患として最も多いのは糖尿病性神経障害で約49%に及ぶ
    ・次に多いのはアルコール性神経障害でおよそ9%
    ・原因不明の特発性多発神経炎(CIAP)は12%におよぶ。治療法はないが、進行は遅く、基本的に経過観察のみでよい
    ・その他、CIPD、尿毒症、慢性肝障害、薬剤性、悪性腫瘍、栄養障害など原因は非常に多岐にわたる


【評価】

    ①血液検査 ・一般的な血液生化学、血算に加えて次の項目を調べる。ビタミンB12欠乏や甲状腺機能低下症はここでスクリーニングする


  ビタミンB1欠乏<
  ビタミンB12/葉酸欠乏
  甲状腺機能低下症
  糖尿病性神経障害

・炎症反応が高ければ血管炎も考慮する
  多発性単神経炎
  MGUS
・POEMS症候群のような形質細胞異常関連疾患でも多発神経障害を生じることがある。グロブリン値が上昇していれば、IgG、IgM、IgAを測定し、必要があれば免疫電気泳動を行う

    ②問診にて飲酒歴、現在の飲酒状況、内服中の薬剤を確認して、アルコール性ニューロパシーと薬剤性ニューロパシーの可能性を検討する


    ③アルコール性ニューロパシーと薬剤性ニューロパシーが否定的であれば次にCIAP(chronic idiopathic axonal polyneuropathy)の可能性を検討する

    ・発症は緩徐で症状は数ヶ月〜数年かけて明らかになる
    ・感覚鈍麻やしびれ感や疼痛が左右対称性に足から始まって徐々に近位に拡大する。手から症状が始まるのは稀
    ・通常、運動障害は伴わない
    ・深部腱反射は減弱するか消失する。特にアキレス腱で顕著
    ・末梢神経障害を来す他の疾患が毛適切な評価によって否定されている
    ・末梢神経伝導検査では正常範囲か軸索障害型


              Length dependent: 四肢遠位が有意に障害されるという特徴
      CIAP

      上記の特徴に該当しない所見がある場合)

      ・下表のような疾患を検討してみる
      ・精査として神経伝導速度などの神経学的検査を行う。あるいは専門医に紹介する


      参考文献)
      1. 山本大介「みんなの脳神経内科」中外医学社 2021
      2. K P Li,et.al.Generalized neuropathy in Taiwan: an etiologic survey Neuroepidemiology 1993;12(5):257-61.
      3. Panagiotis Zis et.al. Chronic idiopathic axonal polyneuropathy: Prevalence of pain and impact on quality of life Brain and Behavior. 2019;9:e01171.
      4. Wolfe GI, Baker NS, Amato AA, Jackson CE, Nations SP, Saperstein DS, Cha CH, KatzJS, BryanWW, BarohnRJ (1999). Chronic cryptogenic sensory polyneuropathy: clin- ical and laboratory characteristics. Arch Neurol 56: 540 – 547.
      厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 末梢神経障害」平成21年5月