シェーグレン症候群
シェーグレン症候群
  • 慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とし、様々な自己抗体の出現や高γグロブリン血症をきたす自己免疫疾患
  • 2011年には患者数68483人(有病率0.05%)
  • 男女比は1:17.4で女性に多く、発症年齢のピークは40~60歳代
  • 診断基準と重症度基準を満たした場合には医療費助成の対象になる

【症状】

(腺症状)

  • ドライアイ、ドライマウス、起動や皮膚、膣などの乾燥
  • 唾液腺および涙腺の腫脹

(腺外症状)

  • 皮膚: 環状紅斑、網状皮斑、紫斑、発汗障害、乾皮症
  • 呼吸器: 乾性咳嗽は高頻度。間質性肺疾患
  • 腎: 遠位尿細管性アシドーシス。尿中βミクログロブリンを測定する
  • 神経: 感覚障害主体の多発性ニューロパチー、三叉神経炎、視神経炎
  • 関節: RA様だが、罹患関節は5以下で、X腺写真でのびらんも頻度が低い
  • 血液: 変血、白血球減少、血小板減少を認めるが軽症が多い。多クローン性高γグロブリン血症。悪性リンパ腫
  • 消化器: 唾液量低下による嚥下障害や胸焼け。萎縮性胃炎。胃MALTリンパ腫もハイリスク
  • 肝臓: 原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎
  • 甲状腺: 慢性甲状腺炎を主体とする自己免疫疾患
  • その他: レイノー現象

【検査所見】

  • 抗SS-A抗体: 陽性率50-70% 特異度は低い
  • 抗SS-B抗体: 陽性率20-30% 特異度は高い
  • リウマトイド因子: 約70%で陽性

【治療】

人工唾液、人工唾液

  • ヒアレイン点眼 1滴/回 5-6回/日
  • サリベートスプレー 1-2秒/回 4-5回/日 噴霧

塩酸セビメリン(サリグレン、エポザック)

約60%の患者で有効だが、消化器症状や発汗などの副作用がある

  • 30mg 3回 食後
  • すぐに効果が出ない場合も多く3ヶ月以上続ける。それでも効果が無い場合は中止を検討

ステロイドや免疫抑制剤

  • 腺外症状がない場合の症状改善効果のエビデンスは乏しい
  • 腺外症状がある場合は、状況によってステロイドや免疫抑制剤を用いる

【予後】

  • 慢性に進行するが生命予後は良好
  • 他臓器の合併症や悪性リンパ腫が合併した場合はより不良となりうる
参考文献)
  1. 難病情報センター「シェーグレン症候群(指定難病53)」
    https://www.nanbyou.or.jp/entry/267
  2. 東直人「シェーグレン症候群:病態・診断・治療」日本内科学会雑誌 106巻 9号 2035-2042 2017
  3. 東直人「成人のシェーグレン症候群の特徴と治療」臨床リウマチ,29: 219~227,2017
  4. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版 シェーグレン症候群 坪井洋人 他」日本医事新報社 2022