- 口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼ブドウ膜炎、外陰部症状を主症状として、急性炎症発作を繰り返す
- 特定の遺伝要因に何らかの外的環境要因が作用して発症すると考えられており、人種を超えてHLA-B51抗原と顕著に相関することが知られている
- 日本の他に地中海沿岸,中東,中国,韓国 に多く,シルクロード病の異名がある
- 10歳以前と50歳以降の発症は稀とされていたが、発症の高齢化も指摘されている
- 2014年度での本邦におけるベーチェッ ト病の特定疾患医療受給者証所持者数は20,035人
- 重症度によっては難病認定の対象となりうる
疾患
アレルギー・膠原病 (23)
1.
アナフィラキシー
2.
関節リウマチ
3.
SLE
4.
シェーグレン症候群
┗ シェーグレン症候群の診断
5.
皮膚筋炎/多発性筋炎
5.
混合結合組織病(MCTD)
7.
ベーチェット病
8.
成人スチル病
9.
リウマチ性多発筋痛症
10.
巨細胞性動脈炎
11.
RS3PE症候群
12.
脊椎関節炎
┗ 強直性脊椎炎
┗ 乾癬性関節炎
15.
血管炎
┗ 顕微鏡的多発血管炎
┗ 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
┗ 多発血管炎性肉芽腫症
┗ 結節性多発動脈炎
┗ クリオグロブリン血症性血管炎
┗ IgA血管炎
16.
血管性浮腫
20.
サルコイドーシス
23.
好酸球性血管浮腫
24.
IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患
25.
菊池病
26.
過粘稠度症候群
27.
薬剤熱
28.
免疫抑制作用のある薬剤使用前HBVスクリーニング
29.
免疫不全状態
30.
ステロイドホルモンの力価換算
ベーチェット病
【症状】 主症状と副症状に区分されている
(主症状)
- 口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍。ほぼ、必発
- 皮膚症状 下腿に好発する結節性紅斑、血栓性静脈炎。顔面、頸部、背部にみられる毛嚢炎様皮疹、あるいは痤瘡様皮疹
- 眼症状 両側性のブドウ膜炎。結膜充血、眼痛、視力低下、視野障害
- 外陰部潰瘍
(副症状)
- 腸管型ベーチェット 回盲部潰瘍
- 血管病変 動静脈系、肺血管系に動脈瘤や静脈血栓を生じる
- 中枢神経病変 急性の髄膜炎、脳幹脳炎。慢性進行性の小脳症状や認知症
- その他 関節炎、副睾丸炎
【検査所見】
- 特異的な自己抗体はない
- HLA-B51は70%で陽性になる
- すべて参考所見であり、事実上診断には寄与しない
【診断】
- 診断基準は複雑で、非専門医が所見を確定することは困難
- 主症状のうち1つ以上があれば疑って専門医に紹介する
【治療】
1) 生活指導
- 齲齒予防などの口腔ケア、疲労、ストレス回避
2) 薬物治療
-
眼症状
- 軽度の前眼部発作 副腎皮質ステロイドと散瞳薬点眼
- 重度の前眼部発作 上記に加え、副腎皮質ステロイドの結膜下注射
- 網膜ブドウ膜炎 水溶性ステロイド、またはステロイド懸濁炎の項部テノン嚢下注射。あるいはステロイド全身投与(ステロイドパルス療法を含む)
- 眼発作頻発時 コルチヒン内服 → 効果不十分であればシクロスポリン内服など
-
皮膚粘膜症状
- 副腎ステロイド局所軟膏、コルチヒン内服
- 関節炎 コルチヒン、NSAIDS。効果不十分であれば副腎皮質ステロイド
-
血管病変
- 副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が主体
- 静脈性血栓症があれば抗凝固療法検討
-
腸管病変
- 副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤
- 難治性の場合はTNF阻害薬
-
中枢神経病変
- 脳幹応援、髄膜炎 副腎皮質ステロイド
- 慢性進行型 MTXを速やかに開始
- 難治性の場合はインフリキシマブ
【予後】
- 眼症状や特殊病型がなければ一般に予後は悪くない
- 眼病変による失明はインフリキシマブで大きく改善した
- 参考文献)
- 難病情報センター「ベーチェット病(指定難病56)」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/330- 日本ベーチェット病学会「ベーチェット病診療ガイドライン2020」
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001177/4/behcet's_disease.pdf- 久永欣哉「ベーチェット病およびその類縁疾患スウィート病における神経障害の病因・診断・治療」臨床神経学 59 巻 1 号(2019:1)