運動麻痺・筋力低下

運動麻痺・筋力低下

    「力が入らない」「力が抜けた」「うまく歩けない」「うまく物が使えない(食事など)」は、まず、次の3つの観点から評価する
     ① どのような神経徴候なのか
     ② 発症の経過
     ③ 症状の分布

    【STEP1】緊急の対応が必要な疾患の検討

      ・初期評価でハイリスクな疾患を除外する
      ・バイタル測定に続いて血糖を測定する。低血糖でも意識障害なしに片麻痺が生じうる
      ・「突発性(あるいは急性、亜急性)」は注意が必要

       突発性+片麻痺 → 脳血管障害、脊髄血管障害、脊髄循環障害、脊髄硬膜下血腫、胸部解離性大動脈瘤など
       急性+対称性+遠位優位 → Guillain-Barre症候群、フグ毒中毒など

     1. 呼吸筋麻痺の評価

         ・評価法は以下を参照
    横隔神経麻痺
    生命予後を左右するので必ず評価を行う
    ・四肢体幹の麻痺を伴う病態で呼吸筋麻痺リスクがある疾患の代表はギラン・バレー症候群

    ギラン・バレー症候群
        それ以外では、様々な生物の毒(ボツリヌス中毒、フグ毒中毒、ウミヘビ毒、ヘビ毒など)

     2. その他のハイリスク疾患の除外

      ・発症が突発性の場合は常に血管障害の可能性を想定する
    脳血管障害
    大動脈解離
    脊髄血管障害  


    【STEP2】症状を神経学的に評価する

      ・②の「発症の経過」で突発性のものはSTEP1で取り扱っているので上記参照
      ・①の「どのような神経症候なのか」と③の「症状の分布」については、一通りの神経学的評価が不可欠
    神経学的スクリーニング


    【STEP3】症状の分布

      ・丁寧な問診と診察によって症状の分布と随伴症状を正確に把握する

    ① 一肢に限局した筋力低下

    ② 四肢麻痺・対麻痺

    ③ 多発単神経炎

    ④ 片麻痺

    ⑤ 四肢筋筋力低下

      参考文献)
      1. 山本大介「みんなの脳神経内科」中外医学社 2021
      2.長谷川修 編「しびれ診療を根底から見直そう」レジデントノート vol.15 No.9 羊土社 2013
      3.中西重清 德田安春  「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
      4.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
      5.日本神経治療学会「標準的神経治療 しびれ感 脊髄空洞症」医学書院 2017