ハチ刺傷
    ・通常は局所の灼熱感と疼痛、広範と膨疹が出現し数時間以内に軽快する
    ・しかしながら、局所反応は1週間程度持続することがある
    ・アナフィラキシーの徴候には注意深く対処する。特に徴候を認めなくても、刺傷後最低1時間は出現してこないか観察を行う
    ・本邦では1年に12人程度がハチ刺傷によるアナフィラキシーで死亡しており、これは薬剤聖についで多い

【アナフィキラシー徴候の評価】

    (自覚症状)全身性蕁麻疹、血管性浮腿.全身性瘙痒、息切れ、胸部苦痛、心窩部痛、めまい、意識障害 
    (理学的所見)血圧の低下、全身性の蕁麻疹や紅斑、喘嗚、舌の脯脹、咽頭浮腫や喉頭痙攣

     もしこれらがあればアナフィラキシーとして評価・治療をはじめる
アナフィラキシー

【アナフィラキシーがない場合の対応】

    ① ミツバチの場合は毒針が残っていないか確認し、あれば除去する
    ② 腫脹と疼痛 冷却する。鎮痛が必要な場合はアセトアミノフェンかNSAIDS
    ③ 搔痒の予防 

     レスタミン(10)3-5錠 2-3回/日
     アタラックスP(25) 2C 2X 〜3C 3X
     ・表皮の紅斑が強ければステロイド軟膏(strong〜strongest)を用いても良い

    ④ 強い局所反応(禁忌がないか注意する)
     PSL30〜50mg 3〜4日

【患者に説明すべきこと】

    ・2〜6時間後に遅延型のアナフィラキシーが生じる場合があるので、その症状を説明して、出現時には再受診、重篤なら救急車を呼ぶように指示する
    ・24時間以上過ぎて受診した場合にはもはやアナフィラキシーの起こる可能性はない
    ・四肢を差された場合はできるだけ挙上する。必要なら冷却する
    ・1〜2日の間は腫脹や疼痛が増悪する場合があり、症状が完全に無くなるまで1週間程度が必要なことがある

【生活、職業上ハチとの接触が多い人の場合】

    ・日本のアウトドアワーカーにおけるハチ毒アレルギーの頻度を調査した報告がある


    ・筆者らは、このような業種ではハチ毒特異的IgE抗体を検査し、陽性であればエピペンの携帯を勧めている(*2)

      参考文献)
      1.Philip Buttaravoli著 大滝純司監訳「マイナーエマージェンシー 第2版」医歯薬出版社 2009
      2. 平田博国 他「ハチ毒アレルギー」アレルギー 67(2),89―97,2018
      3. 岡田正人「レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル」医学書院 2007
      4. Tatewaki M, Hirata H, Ikeno Y, Akutsu I,Sekiguchi S, Suzuki N, etal. Prescription of adrenaline auto-injectors to 1145 Japanese outdoorworkersin2015.Allergol Int 2016;65:483―6.