乾癬性関節炎
  • 乾癬に合併する脊椎関節炎
  • 本邦の乾癬患者数は50〜60万人いるとされている。そのうち約10%が乾癬性関節炎を合併する
  • 関節炎は末梢関節が多く、体軸関節は約40%
  • 30〜50歳代に多く、男女比は2:1で男性に多い
  • 関節病変の範囲、程度、経過は非常に多様で侵される関節も指趾といった末梢関節から膝、肩などの大関節、そして脊柱まで幅広くあらゆる関節が罹患しうる
  • 夜間疼痛で目覚め、朝に関節のこわばりが顕著だが運動によって軽快する

【症状】

  1. 末梢関節炎: 指趾のDIP関節が中心の左右非対称の多関節炎(関節リウマチとの相違点)
  2. 腱付着部炎: 腱・靭帯の骨への付着部付近の炎症。アキレス腱や膝蓋腱、足底腱膜、手指の県でも同様に生じる
  3. 指趾炎: 指趾がソーセージ様に腫脹する(滑膜炎では紡錘状に腫脹)。第3・4趾によくみられる。約20〜30%の患者でみられる
  4. 脊椎関節炎: 主として体軸関節である脊椎や仙腸関節が罹患する。安静時に増悪し、動き出すと改善する腰痛が特徴(34.6%に認める)
  5. 爪病変: 爪の一部の剥離、肥厚、陥凹。爪病変がある指は関節炎が起きやすい

  • 多関節炎型が約60%、小関節型が約40%

【診断】

  • 以下の分類基準を用いて診断する。基本的に皮膚科医やリウマチ医などの専門医以外には診断がつけられない
  • 感度・特異度が示されていることから知れるように偽陰性、偽陽性がありうる
  • 約7-8割が皮膚病変先行型であり比較的容易に診断できる。しかし、関節炎が先行する例が約1割、関節炎と皮膚病変が同時に発症する型もあって、これらの場合は関節リウマチや変形関節症、他のタイプの脊椎関節炎との鑑別は容易ではない

【治療】

  1. 皮膚病変: 活性型ビタミンD、ステロイド軟膏、光線療法
  2. 関節炎: NSAIDS、DMARD(MTXなど)、生物学的製剤

【予後】

  • およそ50%前後の患者では10年間程度の経過で関節変形や骨びらんがみられるようになるが、長期寛解する例や、炎症が軽度でほとんど進行しない例もある
  • 多関節炎型が約60%、小関節型が約40%
参考文献)
  1. 原口和史 他「乾癬性関節炎の3例」整形外科と災害外科 5:(3)59~602,2016.
  2. 日本皮膚科学会「乾癬性関節炎診療ガイドライン2019」
    https://www.ifx-navi.net/about_as.html