IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患
  • 日本での平均発症年齢は62歳であり患者数はおよそ10万人当たり22人と推定されている
  • ①血清IgG4高値、②罹患臓器におけるIgG4陽性形質細胞細胞の浸潤と線維化、③腫瘤性・肥厚性臓器病変の3つを特徴とする
  • 自己免疫疾患的な特徴をもつ一面、アレルギー疾患の合併が高頻度に認められる
  • 自己免疫性膵炎、ミクリッツ病、硬化性胆管炎、後腹膜線維症、炎症性偽腫瘍、間質性肺炎、前立腺炎、甲状腺炎など多岐の臓器病変が本疾患により説明される
  • IgG4は4つあるIgGのサブクラスのひとつ
  • 頭頸部領域に病変を有する症例が多い

【病理所見】

  • 小血管周囲の炎症細胞浸潤と血管壁のIgA沈着が特徴
  • 皮膚では真皮の出血を伴う白血球破砕性壊死性章血管炎
  • 腎臓では蛍光抗体法でメサンギウム領域を中心にIgA,C3の沈着を認める

(ミクリッツ病) 対称性の涙腺・耳下腺・顎下腺腫脹を示す疾患

【臨床症状・検査所見】

  • 病変が複数臓器におよぶことが多いが、単一臓器に限定される場合もある
  • 罹患臓器としては膵臓、涙腺唾液腺、後腹膜組織が高頻度
  • 罹患臓器は他に膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺など多岐に及び、それによって症状も異なる
  • 自覚症状としては涙腺の腫脹による顔貌の変化、耳下腺・顎下腺・舌下腺・涙腺などの外分泌腺における腫瘤形成が多い
  • 超音波検査による臓器腫大の発見、臨床検査異常で発見される場合もある
  • 比較的高頻度で低補体血症、抗核抗体、リウマトイド因子陽性を示すが、CRPは低値
  • 組織診断により各臓器の悪性腫瘍や類似疾患と鑑別する必要がある

【診断】


【治療】

  • 一部に自然寛解例もあり全例に治療が必要ではない。まず、治療が必要か否か判断するために、全身CT(可能ならPET)で病変の臓器分布、多臓器病変の有無を評価する
  • 第1選択は副腎皮質ステロイド
  • 維持療法には低用量ステロイド、免疫抑制薬
参考文献)
  1. 安岡秀剛「IgG4関連疾患に関する最近の話題」明日の臨床 Vol.34 No.1
  2. 正木康史「IgG4 関連疾患:内科の立場から」口咽科 2018; 31(1):77~81
  3. 「免疫系疾患|IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患」難病情報センター