血管性浮腫

血管性浮腫

    真皮深層から皮下組織での血管透過性亢進により局所的に膨隆した境界不明瞭な浮腫
    症状:数時間のうちに症状が完成し3-4日で消失する。頻度は月に数回から数年に1度程度まで様々である。眼瞼や口唇、気道や消化管、陰部などの粘膜に生じやすい
    原因:アレルギー、物理的刺激、薬剤性、遺伝性など様々だが、原因不明の場合も多い

    診断
      詳しい問診や内服している薬剤を調べて原因を推定する
      特に、時に致死的となる遺伝性/後天性血管性浮腫を見逃さないことが重要である。以下のような点を参考にして鑑別する

      ・家族に同様の症状を示す者がいる
      ・小児期・思春期に最初の発作がある
      ・腹痛発作や上気道の浮腫がある
      ・抗ヒスタミン剤、ステロイド、エピネフリンに反応しない
      ・蕁麻疹を伴わない

       原因の鑑別のために血清IgE値、アレルゲン特異IgE、好酸球数などを調べる
      HAEを疑う場合には補体やC1インヒビター活性を測定する。有症状時の検査が望ましい
    遺伝性/後天性血管性浮腫
      比較的稀な疾患で、小児期~青年期に発症し、約25%は家族歴をもたない。様々な頻度で血管性浮腫を繰り返す
      補体、キニン系、凝固ー線溶系を抑制するC1-INH(インヒビター)の遺伝子異常による減少・機能異常であるが、他の因子の異常によるものもある
      頻度:海外では5万人に1人の有病率とされているが、日本では明らかにされていない
      好発部位は、顔面、咽喉頭、四肢、消化管である
      上気道浮腫は窒息のリスクがあり、消化管に生じれば腹痛発作となり腸閉塞を来すこともある
      抗ヒスタミン薬、ステロイド、エピネフリンなどに反応しない
      物理的刺激や激しい運動が誘因となることもある
    アレルギー性血管性浮腫
      IgEと肥満細胞によるⅠ型アレルギーによって生じ、通常は蕁麻疹や痒みを伴う
      牛乳、卵、小麦などの食物、ペニシリンなどの薬物や、虫刺でも生じることがある
    薬剤性血管性浮腫
      ACE-I内服患者では0.1-0.5%に生じる
      ARBやNSAIDS、造影剤、DPP4阻害薬などでも生じる
      アレルギー性の機序ではない
    物理的刺激による血管性浮腫
      寒冷、日光、振動など特定の物理刺激による
      蕁麻疹を伴う場合もある。
    好酸球性血管性浮腫
      反復性のものと非反復性のものがあり日本人に多い(上のリンクを参照)
    特発性性血管性浮腫
      原因が特定できない血管性浮腫
      参考)
      ・HAE情報センター
      https://csl-info.com/hae-info/about/about.html
      ・「C1―inactivator が著効した血管性浮腫の1例」 日耳鼻 120:217-223;2017
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/3/120_217/_pdf/-char/ja