原発性アルドステロン症
  • 副腎皮質の自律的なアルドステロン産生(過形成,腺腫,または癌腫による)により引き起こされる
  • 通常一側性の副腎皮質球状層細胞の腺腫(約75%)、あるいは過形成(約20%)が原因となる
  • ごくまれに副腎癌(0.1%程度)がある

【症状、所見】

  • 低カリウムによる多尿・多飲、発作性の筋力低下、周期性四肢麻痺があるがこれらの症状を来す例はまれ
  • ほとんどの場合は治療抵抗性の高血圧のみ
  • 低レニン血漿、血中アルドステロン高値、低K血漿、代謝性アルカローシス
  • 心血管疾患の発症リスクを上げる 脳梗塞2.58 冠動脈疾患1.77 心房細動 3.52 心不全 2.05

PAC/PRA比(ARR)によるスクリーニングが一般的である

レニン活性(ng/ml/h)       
血漿アルドステロン値(pg/ml)    
◎ 血漿アルドステロン値の単位がng/dlの場合はx10として用いる
◎ 降圧薬の種類により偽陽性や偽陰性を呈する可能性があるため,カルシウム拮抗薬やα遮断薬に変更後にスクリーニングを実施することが推奨される

ARR 

原発性アルドステロン症の可能性  

  • 確定診断は、カプトプリル負荷試験、生理食塩水試験、フロセミド立位負荷試験、経口食塩水負荷試験などにより行う

【治療】

  • 副腎静脈サンプリングを行い、両側病変の場合はMR拮抗薬、片側病変であれば手術(腹腔鏡下副腎摘出術)
  • MR拮抗薬としてはスピロノラクトンとエプレレノンの2種類がも胃いられている

(参考)
参考文献)
  1. 「原発性アルドステロン症 診療ガイドライン2021」日本内分泌学会雑誌Vol.97 Supple October 2021
    http://www.j-endo.jp/uploads/files/news/20210823.pdf
  2. 柴田洋考「原発性アルドステロン症の最近の進歩」日内会誌 106:319〜326,2017
  3. 日本内分泌学会、日本内分泌外科学会「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」日本内分泌学会雑誌 Vol.92 Suppl. Sep 2016
  4. 伊藤裕 他「原発性アルドステロン症」日本内科学会雑誌 第95巻 第4号 平成18年4月10日