急性副腎不全

急性副腎不全

急激に糖質コルチコイドの絶対的または相対的な欠乏が生じ、放置すると致命的な状況に陥る病態

【原因と誘因】

  1. 既知・未知の慢性副腎不全症患者に種々のストレス(感染、外傷など)が加わり、ステロイド需要が増加した場合(長期間のステロイド内服を背景に生じやすい)
  2. 治療目的で 長期服用中のステロイド薬の減量・中止が不適切に行われた場合の発症が多い 誘因)感染、特に胃腸炎

【症状】

  • 悪心、嘔吐、軽度腹痛、体重減少、筋・関節痛、倦怠感、発熱、血圧低下、意識障害など 多様かつ非特異的

【検査所見】

  • 低ナトリウム血症,高カリウム血症,低血糖,貧血,好酸球増多などを認める


【評価と治療】

  • 疑われれば、ACTH、コルチゾールの測定用検体を採取後、躊躇なく治療を開始する
  • ストレス下の随時血中コルチゾール値を用いた副腎クリーゼの判定の目安として3~5 μg/dl 未満なら副腎不全症を強く疑う。18μg/dl以上であればまず問題はない

【治療】

  1. 心機能監視下に1000ml/時の速度で生理食塩水を点滴
  2. ヒドロコルチゾン(水溶性ハイドロコートン、ソル・コーテフ)100mg静注。その後、5%ブドウ糖内に100〜200mgのヒドロコルチゾンをいれた溶液を24時間で点滴静注
参考文献)
  1. 柳瀬敏彦「急性副腎不全(副腎クリーゼ)」日内会誌 105:640~646,2016
  2. 方波見卓行「副腎不全の診断と治療法」ドクターサロン62−8 2018