環状紅斑
  • 小さな紅斑として発症し、遠心性に拡大するが中心部は消退して環状の紅斑を形成するもの
  • 中〜高齢者に好発する遠心性環状紅斑以外のものでは膠原病や悪性疾患を合併するものがあるので注意が必要
  • 組織学的には滲出傾向のない真皮血管周囲のリンパ球増殖

【遠心性環状紅斑】

  • 直径2cm程度の隆起性浮腫性紅斑からはじまって周囲へ拡大する
  • 2週間以上続き、数ヶ月間再発を繰り返すこともある
  • 搔痒はない
  • 水疱や鱗屑はない
  • 内臓悪性腫瘍が関与することもある
    治療)ステロイド外用や抗ヒスタミン剤内服

【シェーグレン症候群】

  • 環状紅斑は頻発
  • 皮膚症状としては血管炎に伴う紫斑や乾皮症も特徴的
シェーグレン症候群

【SLE】

  • SLEでは頬部紅斑が80%以上で認められる
  • 特徴的なのは環状紅斑ではなく円盤状紅斑だが16%程度
  • 亜急性皮膚エリトマトーデスでは環状紅斑と乾癬に類似した丘疹落屑型の皮疹が特徴岐に渉るが、特に注意すべきは、急性に進行するもの、バイタルの変動を伴うものである
SLE

【リウマチ性環状紅斑】

  • リウマチ熱の初期に生じる

【慢性遊走性紅斑】

  • ダニ咬傷で1ヶ月以内に休診や紅斑が生じて急速に拡大。中央部は退色する
  • 径は5〜40cmとかなり大きい
  • ライム病の初発症状として有名

【匍行性迂回状紅斑】

  • パターンのある縞模様状に見える紅斑
  • 痒みが強い
  • 内臓悪性腫瘍を高率に合併する<
参考文献)
  1. 清水宏「あたらしい皮膚科学」中山書店 71:456-469,2006
  2. 石川治 田村敦志「皮疹からみる皮膚病理」南江堂 2010
  3. 山崎雄一郎 他「全ての診療科で役立つ皮膚診療のコツ」羊土社 2011
  4. 西山茂夫「皮膚病アトラス」文光堂 2005