疾患
丘疹(papule)
【定義】
- 直径10mm以下の限局性隆起性病変
- 急性期には炎症に基づく、細胞浸潤によって小さく盛り上がる
- 慢性のものでは、慢性炎症に基づく反応性表皮増殖や真皮の肉芽腫性変化が出現して硬くなり、なんらかの物質沈着が見られることもある
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毛包の位置と一致して出現するものを毛包一致性丘疹、一致しないものを非毛嚢一致性丘疹と区分する
形態)半球状、扁平
表面の性状)平滑、びらん性、潰瘍性、閣下性、痂皮性など
肉眼所見) 漿液性丘疹(頂点に小さな水疱がある)、充実性丘疹(水疱を伴わない)

【種類】
① 漿液性丘疹
- 急性期の真皮における強い滲出性炎症を反映した丘疹
- 境界不明瞭で、中に水がたまったように見える
- 強い搔痒があり、掻爬するとびらんになる
- 接触性皮膚炎の場合が典型的である
② 苔癬丘疹
- 直径5mm大までの丘疹が多数集合し、長い間、他の皮疹に変化しない状態
- 形は円形ではなく、多角形
- 赤紫色の色素沈着を伴う
- 扁平苔癬、光沢苔癬、アミロイド苔癬、毛孔性苔癬、棘状苔癬など
③ 壊疽性丘疹
- 丘疹の頂点に黒褐色の痂皮でときに出血を伴う
- 周辺の赤みが強い
- ときに出血を伴う
- 掻爬によるびらん性丘疹との鑑別が重要
- 反応性穿孔性膠原病、結核疹など
- 参考文献)
- 清水宏「あたらしい皮膚科学」中山書店 71:456-469,2006
- 石川治 田村敦志「皮疹からみる皮膚病理」南江堂 2010
- 山崎雄一郎 他「全ての診療科で役立つ皮膚診療のコツ」羊土社 2011
- 西山茂夫「皮膚病アトラス」文光堂 2005