多形(滲出性)紅斑

★ 注意

・粘膜病変を伴うものは多型紅斑重症型(EM major)と呼ばれ、スティーブンス・ジョンソン症候群やTENとの鑑別が重要である

・第一に眼瞼結膜の充血、口唇口腔粘膜や陰部の水疱・びらんの有無を確認する必要がある 

【特徴】
  • 直径10〜30mm程度の類円形で鮮紅色を呈する紅斑であって、外見上、二重丸あるいは三重丸に見える的状の特徴的な皮膚病変である
  • やや隆起していることが多く、多形滲出性紅斑とも呼ばれる
  • 拡大して融合するとさらに歪な形になるが、これは重症化を示唆するハイリスク所見でもある
  • 皮疹は両側性に多発し、四肢とくに手背と前腕伸側に初発しやすい
  • 通常、搔痒や刺痛を伴う
  • 浸出液が表皮の下に貯留して水疱となることがある
  • リンパ球の浸潤があり、一種のアレルギー反応と考えられている
  • 原因としては薬剤、感染症、膠原病がある
【症状】
  • 発熱、倦怠感、衰弱などの全身症状
  • 関節痛、関節腫脹、咳嗽などの肺炎類似症状を伴うこともある
【対応】
  • 中止可能な薬剤はすぐに中止して、注意深く経過観察する
  • 原則的に皮膚科にコンサルトする
    ① 大型の皮疹が多発し融合傾向がある 
    ② 粘膜病変 
    ③ 咽喉頭痛、口腔痛、皮膚の痛み 
    ④ 発熱

    のいずれかが該当すれば早期に皮膚科に紹介
参考文献)
  1. 清水宏「あたらしい皮膚科学」中山書店 71:456-469,2006
  2. 石川治 田村敦志「皮疹からみる皮膚病理」南江堂 2010
  3. 山崎雄一郎 他「全ての診療科で役立つ皮膚診療のコツ」羊土社 2011
  4. 西山茂夫「皮膚病アトラス」文光堂 2005