C型肝炎
  • 日本では100万〜150万人の持続感染者が推定されている
  • HCVに感染すると約70%が持続感染となる
  • 慢性肝炎、肝硬変、肝癌患者の約60%がHCV感染
  • 約25000人/年が肝臓癌で死亡している
  • 60歳以上となれば発癌率が増加する

【感染経路】

  • 輸血に伴う感染はPCR検査が導入されて以来はほとんど見られなくなった
  • 注射器の使い回し、入れ墨などはリスクが高い
  • 母子感染や性行為では感染率は低い

【症状】】

  • まれに血液感染から2〜14週間をへて急性肝炎を起こすことがあるが大部分は無症状
  • 感染すると、約70%が慢性肝炎となる
  • 慢性肝炎となると30〜40%は肝硬変となり、肝硬変では≧3%/年で発癌する

【検査】

  • HCV抗体: 感染の既往
  • リアルタイムHCV RNA: 現在の感染
  • HVC遺伝子型 型により治療方法が異なる

【発癌リスク】

  • C型肝硬変では3%/年以上
  • ALT≦30IU/Lではまれ
  • 男性(HR3.9)、65歳以上(HR6.0)

【HCVの肝外症状】

【治療】

  • 非代償性肝硬変を除く全てのC型肝炎が抗ウイルス薬の適応となりうるので原則的には肝臓専門医に紹介する
  • 直接型抗ウイルス薬 (direct acting antivirals:DAAs)は高い安全性と治療効果を示す
  • DAAs非著効例では強い耐性ウイルスが高頻度で出現するため、再治療のプロトコールは薬剤耐性変異に留意して慎重に組み立てる
  • DAAはハーボニー、エレルサ、グラジナ、マヴィレット、ソバルディ、レベトールなど
  • ゲノタイプと腎機能に応じて様々に組み合わされる

★ 抗ウイルス療法でHCVが排除されれば、肝癌発症リスクは低下するが、なくなりはしないため、全ての患者で定期的な検査が必要
★ 高齢、肝線維化進展、AFP高値、男性、糖尿病、飲酒などはウイルス排除後の肝発癌リスクであり、特に厳重に経過観察する必要がある 

【定期検査】

  • 肝癌診療ガイドラインではサーベイランスの至適間隔に関する明確なエビデンスはないとされている
  • 目安としては次のような提案がなされている

【免疫抑制剤使用時の注意】

  • 型肝炎ウイルス(HCV)はHBVに比べて, 再活性化肝炎が劇症化することがきわめてまれ
  • しかし、がん化学療法後の肝機能障害には注意が必要。増悪あればリアルタイムPCR
参考文献)
  1. 日本肝臓学会「C型肝炎治療ガイドライン (第8.2版)」2022年6月
    https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.2_20230316.pdf
  2. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版 C型肝炎 坂本直哉 他」日本医事新報社 2022.
  3. Giovanni Raimondo et.al Occult hepatitis B virus infection Journal of Hepatology 46 (2007) 160–170
  4. 今村道雄 茶山一彰「C型肝炎」日本内科学会雑誌 106 巻3号 2017
  5. 石井裕正 他「肝疾患診療マニュアル」診断と治療社 1999
  6. 楠本茂 田中靖人「免疫抑制剤使用時の肝炎ウイルス再活性化」 日内会誌 103:1645~1653,2014