E型肝炎
  • 一本鎖RNAをゲノムとするウイルス
  • 人獣共通感染症ウイルスであり、ヒトの他にブタ、イノシシ、シカ、ウサギ、ラクダならびにマングース等多くの動物へ感染する
  • 4類感染症であり診断すれば直ちに届け出る必要がある
  • 日本でも年間1500人程度はE型肝炎を発症していると推定されている

【感染経路】

  • 日本にもHEVは常在している
  • カキなどの魚介類の生食、輸入食材からの感染、同性愛者を含む性行為感染など
  • ブタやイノシシの肉や内臓を不十分な加熱で摂取すると感染しうる
  • 感染源と推定される食材はブタレバー・ホルモンが35%、イノシシ肉・内臓、シカ肉、二枚貝の生食がそれぞれ6〜9%。不明例が46%(*3)

【症状】】

  • 潜伏期は2〜9週間(平均6週間)
  • 嘔気、食欲不振、発熱、倦怠感、腹痛などで発症
  • 黄疸や褐色尿を呈する場合が多い
  • 無症状の不顕性感染も多いと考えられている
  • 通常は慢性化しないが、臓器移植後などの免疫抑制状態では約6割は慢性化する
  • 発症すると10〜20%で急性肝不全や黄疸遷延等を示し重症化する。妊婦に感染すると重症化しやすい

【検査】

  • HIgA-HEV抗体(保険収載)

【治療】

  • 特異的な抗ウイルス療法はない

【予防】

  • 中国で大腸菌由来組換えワクチンが認可されているが日本ではいまだ実用化されていない
参考文献)
  1. 井上淳 正宗淳「A型,E型肝炎の日本における現況と課題」日内会誌 109:1439~1444,2020
  2. 岡本宏明 「A,E型肝炎」日内会誌 106:433~438,2017
  3. Takahashi M, et al : A nationwide survey of hepatitis E virus infection in the general population of Japan. J Med Virol 82 : 271―281, 2010.