特発性細菌性腹膜炎
  • 腹水が貯留する患者に起こる腹膜炎
  • 腹痛などの腹部症状に乏しく診断が難しい
  • 起炎菌は大腸菌が最多で、クレブシエラ、腸球菌など腸管由来のものが多い。鼻咽頭由来の肺炎球菌でもおこる

【症状】

  • 腹痛がない場合もあるので、腹水のある患者の体調不良では必ず鑑別診断にいれる
  • 高度な腹水患者でははじめに腹水分析と培養の検体を採取する
  • 発熱、倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、頻脈、意識障害など非特異的
  • 腹痛は50%弱のみ
  • 30%はまったくの無症状

【診断】

つぎのいずれかがあれば診断できる

  • 腹水中白血球>250/μL
  • 腹水培養陽性
  • 腹水グラム染色陽性
  • 腹腔内膿瘍を生じた場合は二次性細菌性腹膜炎と呼ばれ、外科治療が必要となる
  • 腹水培養の際には、各ボトルに腹水を10ml以上いれる

【治療】

抗生剤)

  • CTRX1-2g q24  CTX2g q8 LVFX 500mg q24(内服でも静注でもよい)

アルブミン)

  • 使用条件は①CRN≧1mg/dL、BUN≧30mg/dL ②T-bil 4.0mg/dL
  • 初日にアルブミン1.5g/kg、3日目に1g/kgを投与する

予防投与)

  • 上部消化管出血があれば予防投与が有効
  • CTRX1-2g q24  CTX2g q8 X7day

【予後】

  • 再発が非常に多い
  • PPIは再発のリスクとなる
  • 1年生存率は約30%