Budd-Chari症候群

Budd-Chari症候群

  • 肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群
  • 2004年の年間受療患者数(有病者数)の推定値は190〜360人。やや男性に多く、確定診断のピークは20〜30歳代、平均は42歳
  • 基礎疾患として血液疾患(真性多血症、発作性夜間 血色素尿症、骨髄線維症)、経口避妊剤の使用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎(ベーチェット病、全身性エリテマトーデス)、血液凝固異常などがある
  • 原因不明の原発性Budd-CHiari症候群と続発性Budd-CHiari症候群に区分される。続発性の原因疾患としては肝腫瘍など
  • 進行すると肝細胞癌を合併することがある

【臨床症状】

  • 急性型と慢性型がある
  • 多くは発症時期が不明で慢性の経過をとる
  • 急性型は腹痛、嘔吐、急速な肝腫大おより腹水で発症し、1〜4週間で肝不全により死の転帰をたどるが、日本では極めて稀
  • 慢性型は多くの場合、無症状で発症し、徐々に下腿浮腫、腹水、腹壁静脈怒張、食道・胃静脈瘤などを起こしてくる

【診断】

  • 超音波ドプラー法にて肝静脈主幹や幹部下大静脈の逆流および、乱流。また肝静脈血流波形の平坦化あるいは欠如
  • 下大静脈、肝静脈造影と圧測定で、肝静脈主幹あるいは患部下大静脈の閉塞や狭窄を認める
  • 二次性のものについては原因疾患を精査する

【治療】

  • カテーテルによる開通術や拡張術、ステント留置、あるいは手術
  • 軽症の場合は、抗生物質を含めた初期治療ののち、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術
  • 中等症〜重症では抗生物質を含めた初期治療を施しつつ、ドレナージあるいは早期〜待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術
参考文献)
  1. 「門脈血行異常症ガイドライン 2018年改訂版(2018年12月13日 Version)」 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班
  2. 「バッド・キアリ症候群(指定難病91)」 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/317