絞扼性イレウス

【疫学と分類】

  • 手術時期を逃すと予後不良だが、術前の診断は必ずしも容易ではない
  • 絞扼の原因は癒着によるものが約半数、腸管軸捻転が3割、嵌頓・陥入が2割程度
  • 小腸が虚血に耐えうる時間は3〜6時間
  • 死亡率は10%強

【症状】

  • 典型的には突発する持続性の激しい腹痛
  • 腹痛は80%程度であるが欠く場合もある
  • 嘔気・嘔吐、腹部膨満感は、約4割
  • 他覚的に腹膜刺激症状は過半数に認める
  • ヘルニア嵌頓の可能性を考えて評価を行う

【検査所見】

  • CRP、白血球数が上昇している場合が多い
  • AST,LDH,CPKの上昇を認める場合があるが20〜30%程度
  • 単純レントゲン: 鏡面像を呈することは少なく、ガス像を欠く場合がある。9割以上で何らかの異常を認める
  • 腹部超音波検査: 腸蠕動消失によるto-and-fro運動の消失やKerckring襞の不明瞭化,混濁腹水貯留所見
  • 腹部CT検査: 腸管壁の浮腫、腸間膜の不明瞭化など
参考文献)
  1. 東海林安人 他「絞扼性イレウスの症例の検討」日本腹部救急医学会雑誌 27(4):549~52,2007
  2. 落合大樹 他「腸閉塞(イレウス) 私の治療」日本医事新報 Webコンテンツ 2021-04-22登録
  3. 川崎誠康 他「小腸イレウスの診断と手術適応基準の検討」日臨外会誌 68(6) 1369-1376,2007