糞便塞栓

糞便塞栓

  • 大きく硬く濃縮されて固まった便あるいは糞石が主として直腸に留まって排出できない状態
  • 入院患者、施設入所者、精神神経疾患罹患者に多い

【病態】

  • 高齢者でサルコペニアによる腹筋の萎縮による排便機能低下
  • 結腸運動機能の低下
  • 直腸知覚閾値の低下により直腸に便が充填されても強い便意が起きにくい
  • 溢流性便失禁: 直腸内に停留した便塊によって内肛門括約筋が反射的に弛緩状態となって漏出性に軟便や液状便の失禁が生じる
  • 合併症としては穿孔が最多で、潰瘍や出血、腸閉塞も起こる

【診断】

  • 直腸診による直腸内便塊の確認。ただし、直腸よりも近医で糞便塞栓が生じることもある
  • 腹部単純X線、腹部CT、腹部エコー(膀胱の深部に直腸内の便塊を確認)でも診断が可能

【治療】

  1. グリセリン浣腸 60-120ml
  2. 摘便
  3. 普通の摘便で解除できない場合は麻酔下に行う
  4. 解除しきれない場合は緩下剤を用いる
参考文献)
  1. 安達亙 他「外来を受診したfecal impaction症例の臨床像」日本大腸肛門病会誌 75:327-332,2022
  2. 中島淳 他「高齢者の慢性便秘症の病態と治療」日老医誌 2020;57:406―413