胃酸の消化管近位への逆流によって様々な症状が引き起こされる病態
疾患
GERD
【症状】
- 「胸焼け」胸骨裏の灼熱感
- 「呑酸」胃から逆流する感覚と口や喉の奥の酸っぱさ
- それ以外にも心窩部痛、胸痛、慢性咳嗽、喘息発作、咽喉部違和感など様々な現れ方をするのでこれらの鑑別診断に入る
【警告症状】
嚥下障害や嚥下時痛 持続する嘔吐 吐血や貧血 体重減少
- 胸痛で来た場合には心血管疾患の、喘息や慢性咳嗽で来たときには呼吸器疾患の除外は必要である
【治療】
- 典型的な症状があり、警告症状を伴わないものは,必ずしも上部消化管内視鏡などの検査を行わずに治療を開始してもよいとされている
- 1日1回のPPI投与ではじめる。改善しないときは1日2回に増量する。このような例では上部消化管内視鏡を行う
- PPI不応性の疾患のひとつに好酸球性食道炎がある
- PPIは食前1時間から30分の服用で最大の効果が期待できる
- PPIは様々な副作用が指摘されており投与期間は最小限にすべき
- バレット食道(LSBEは日本では稀)、重症食道炎以外では、PPIの投与は4週間程度として、オンディマンド(症状増悪時の単回〜短期間内服)療法への移行、またはH2阻害薬へ切り替えるのが望ましい
【生活指導】
- 体重減量、就寝時のベッド頭側挙上
- 喫煙、アルコール、チョコレート、炭酸飲料、脂肪食は避ける
- 就寝前2〜3時間の食事は避けるようにする
【その他】
- ong segment BaITett,esophagus(LSBE)では,パレット腺痛のリスク(アメリカ で年0.4%)があるため,内視鏡による定期観察が必要
- 内視鏡でGERDが認められても、生活に支障のある症状が出ているか、あるいは強い粘膜障害を認めなければ通常薬物治療は不要であり、生活指導のみで十分
- 参考文献)
- 小林健二「極論で語る消化器内科」丸善出版 2018
- 「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015(改訂版2版)」日本消化器病学会