胃・十二指腸潰瘍
  • 酸,ペプシンにより消化管壁の欠損を生じる
  • Helicobacter pyloriと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が2大リスクファクター
  • H. pylori陰性,NSAIDs非使用の場合を特発性潰瘍と呼ぶ

【症状】

  • 腹痛が主訴のことが多い(66.8%)。部位は心窩部が51.9%
  • 背部痛(10.8%)、前胸部痛(3.7%)
  • 無症状のものも胃潰瘍で16.2%、十二指腸潰瘍で9.7%
  • 胃潰瘍は食後の疼痛、十二指腸潰瘍では空腹時の疼痛というのは必ずしもあてはまらない
  • それ以外の症状としては、腹部不快感、食慾不振、悪心、タール便が各10%前後

【診断】

  • 上部消化管内視鏡で診断

【治療】

出血性潰瘍

  • まず内視鏡的止血を試み、無効の場合は手術あるいはIVR(血管造影下に胃動脈末梢を塞栓する)
  • 血栓リスクの高い例では抗血小板剤は中止しない
  • 抗凝固薬服用例では、ヘパリン弛緩や止血確認後早期の再開が必要である

H. pylori除菌

  • H.pylori起因性潰瘍では,H. pylori除菌治療を行う
  • 除菌成功後の未治癒は0〜30%ある。NSAIDSを用いていれば中止、抗潰瘍薬の投与を続ける
  • 除菌成功後の潰瘍再発は0〜2%

出血性潰瘍の止血後、および非出血性潰瘍

  • PPIあるいはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:タケキャブなど)を投与する
  • 維持療法は基本的にはH2受容体拮抗薬、特発性潰瘍ではPPIを用いる場合もある
  • NSAIDS潰瘍の予防にはPPI,PG製剤、もしくは高用量のH2受容体拮抗薬を用いる

参考文献

  1. 佐藤貴一 「胃・十二指腸潰瘍[私の治療]」日本医事新報Webコンテンツ 2020-10-17登録
  2. 岩切龍一「胃潰瘍診療ガイドラインの日常診療における活用」日内会誌 97 : 184~189,2008
  3. 佐藤貴一「消化性潰瘍診療 ガイドライン2015 改訂第2版」日内会誌 105:2194~2199,2016
  4. 朝倉均 他「消化性潰瘍の症状」日内会 誌 80:18一 一21,1991〕