意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)
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B細胞あるいは形質細胞の単クローン性増殖により単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)が検出されるものの、血清M蛋白量は3g/dL未満かつ骨髄中の形質細胞が10%未満で、他のB細胞性腫瘍が否定され、かつ臓器障害がない
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罹患率は50歳以上で3.2%、70歳以上で5.3%、85歳以上で8.9%とcommonである
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増殖する免疫グロブリンによって以下の3つに区分される

【症状】
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基本的に症状はない(あれば多発性骨髄腫などの診断になる)
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治療適応のある骨髄腫を多発性骨髄腫と定義する
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しかしながら、アミロイドーシスにより多発性ニューロパチーを生じる場合がある
【検査所見】
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血清IgG、IgA、IgM、(IgD)を測定する。多発性骨髄腫ではM蛋白以外の免疫グロブリンは減少しているが、MGUSでは保たれていることが多く鑑別の一助となる
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血清,尿(部分尿)の免疫電気泳動法(immunoelectrophoresis:IEP)により,M蛋白を同定
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血清の蛋白電気泳動法(protein electrophoresis:PEP)を施行し、血清総蛋白(g/dL)にMピーク分画の割合を乗じたものが血清M蛋白量。ただし、IgM型の場合は血清IgMの濃度をM蛋白量としてよい
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尿蛋白高値(≧500mg/24時間)が疑われる場合は,24時間蓄尿検体で尿蛋白量と尿PEPを施行し,血清と同様に尿M蛋白量を算出する
【評価】
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CRABで定義される臓器障害をすべて認めないことを確認する。1つでも該当すれば多発性骨髄腫
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手根管症候群,拡張型心筋症,アルブミン尿,慢性の下痢など,アミロイドーシスを疑う症状にも気を配る
【診断】

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注)
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* CRAB:C 高カルシウム血症 R 腎不全 A 貧血 B 骨病変
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** 過粘稠度症候群: 頭痛,眼症状,鼻出血,口腔内出血,呼吸困難など
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*** FLC比: 免疫グロブリン軽鎖κ/λ比 多発性骨髄腫の中には免疫グロブリンの軽鎖のみを分泌するBence-Jones型が存在し、通常のMPH蛋白として検出されないが、、これを測定することにより早期診断が可能
【治療】
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MGUSは基本的に治療不要
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3〜6ヶ月ごとに臓器障害の有無、血清・尿中Mタンパク量の測定が必要
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必要に応じて骨髄検査や骨X線検査が必要
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多発性骨髄腫の初発病状として最多は骨病変に伴う痛みであり、貧血による動悸・息切れがそれに次ぐ
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参考文献)
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猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版」日本医事新報社 2022: 単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS) 渡部玲子
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石田禎夫「多発性骨髄腫の診断」日内会誌 105:1209~1215,2016