疾患
血液 (13)
1.
鉄欠乏性貧血の評価と治療
2.
先天性溶血性貧血
┗ サラセミア
3.
特発性血小板減少性紫斑病
4.
先天性血小板減少症・異常症
4.
溶血性尿毒症症候群(HUS)
4.
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
4.
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
4.
薬剤性血小板減少症
4.
ヘパリン誘発性血小板減少症
5.
DIC
┗ DICの治療
5.
腫瘍
┗ 悪性リンパ腫
┗ 高ガンマグロブリン血症
┗ 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)
┗ 多発性骨髄腫
┗ 真性赤血球増加症(polycythemiavera;PV)
7.
血球貪食症候群
8.
TRALI/TACO
サラセミア
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・先天的溶血性貧血のうち異常ヘモグロビン症に属する
・ヘモグロビンは2本のα鎖と2本のβ鎖で校正される。α鎖遺伝子異常によってαサラセミアが、β鎖遺伝子異常によってβサラセミアがおこる
・遺伝子異常のタイプによって軽症〜重症まで様々な表現型がある
疫学
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・日本人での有病率はαサラセミア0.04%、βサラセミアは0.1%とけして稀ではない
・東南アジア出身者ではさらに頻度が高い
・βサラセミアは地中海沿岸で頻度が高く、地中海貧血とも呼ばれる
症状・症候
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・αβどちらの遺伝子の異常でも、それぞれαグロビン、βグロビンの算出が減少し、小球性貧血になる
・産出量が一定限度を超えて減ると、算出されたのにヘモグロビンを掲載できないグロビンが増えて変性し、溶血性貧血となる
・軽症例では、貧血はないか、ごく軽度
・本邦でみられるサラセミアはほとんどが軽症
・重症型は周産期に診断されるので、一般の内科外来に受診するケースはほとんど軽症
サラセミアを疑う臨床的状況

診断
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① Mentzer index

② 目視の血液像で標的赤血球を確認する
③ 鉄動態
・フェリチンは正常〜増加
④ ヘモグロビン分画(電気泳動法)
・可能な検査機関は限られる
⑤ 遺伝子検査
・保険適応がなく、自費での検査となる
・おおむね15000円〜35000円必要となる
遺伝子カウンセリング
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・ヘテロ接合体による軽症のサラセミア同士で結婚し、ホモ接合体の子どもが生まれると、一生定期的輸血と鉄キレート療法が必要になり、長期の存命は見込めない
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参考文献)
1. 亀崎豊実「先天性溶血性貧血」日本医事新報 電子コンテンツ 2-17-03-16登録
2. 服部幸夫「サラセミア疑い例の診断方法は?」日本医事新報 電子コンテンツ 2018-12-29登録
3. 石井義洋「卒後20年総合内科医の診断術 Ver.3」第3版 中外医学社 2024
4. 上田剛士「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」医学書院 2014
5. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版 先天性溶血性貧血:亀崎豊実」日本医事新報社 2022.