DICの治療

DICの治療

感染症に合併するDIC)

    1 合成プロテアーゼインヒビター
    ・アンチトロンビン非依存性に抗トロンビン活性を示す。強い抗凝固活性および抗線溶活性があるため線溶亢進型DICに有効
    ・出血の副作用は少ないためヘパリン類の使用が困難な場合によい適応になる
    ・ともに中心静脈からの投与が原則

    ① ナファモスタットメシル酸塩 
    ・1.44〜4.8mg/kg/日、標準的な体重では 150〜200mg/日の投与
    ・強い抗凝固活性および抗線溶活性があるため線溶亢進型DICに有効
    ・高K血症に注意が必要

    ② ガベキサートメシル酸塩 
    ・20〜39mg/kg/日、標準的な体重では 1500〜2000mg/日の投与
    ・高K血症に注意が必要
    ・抗線溶活性は強くない

    2.ヘパリン
    ・身分各ヘパリン、低分子ヘパリン、ダナパロイドがある
    ・AT活性が低下していると効果がない
    ・通常は10,000単位/日

    3,AT製剤
    ・AT活性70%以下で使用可能
    ・1500単位/日 (ノイアート)

    4,遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤(rTM)

APLに合併するDIC)

    ・抗線溶療法は行ってはならない

    ・出血が多い。7割は脳出血で、3割弱が肺出血であり、いずれも致死的になる
    ・治療の基本は血液製剤の補充
      ・新鮮凍結血漿をフィブリノーゲンが150mg/dL以上に、血小板は血小板数5万/μLを維持するように補充
    ・全トランス型レチノイン酸(ATRA)を投与すべき
    参考文献)
    1.上田剛士「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」医学書院 2014
    2.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
    3.中西重清 德田安春「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
    生坂政臣 監訳「早わざ外来診断術」中山書店 2009
    4.筒泉貴彦 他編集「総合内科病棟マニュアル」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017
    5. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」シーニュ 2019
    6. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版」日本医事新報社 2022. 7. 筒泉貴彦 他編集「総合内科病棟マニュアル」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017 8. 朝倉英策「播種性血管内凝固(DIC)の 診断と治療」日内会誌 109:1378化rs1385, 2020