症候
嘔気・嘔吐
嘔気・嘔吐
・嘔気、嘔吐をおこす病態は多種多様であり、この症状だけで診断を進めるのは非常に困難
・したがって、他の症状などとの組み合わせで鑑別診断を進めていく
・ただし、嘔気・嘔吐が主訴になり得るものを主に述べる
【STEP1】リスクの高い疾患の除外
・急性冠症候群、くも膜下出血、胆嚢・胆管炎などハイリスクな疾患が含まれる
・高齢者の嘔気、嘔吐では必ず心電図をとるのは基本的な対応
・リスクの高い疾患は否定されるまでは、常に可能性は残っていると考える
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【症状、既往歴、身体所見】
【検査所見】
- ・心筋梗塞でトロポニンが陽性になるのは発症3〜4時間後
・痩せた患者の慢性再発性の心窩部痛、嘔気、嘔吐。10〜30歳の若年者に多いが高齢者でもある
- ・慢性的なアルコール過剰摂取のある患者が、何らかの原因で急に食事や飲酒が出来なくなって発症
脳腫瘍
急性緑内障発作
【STEP2】それ以外の疾患の鑑別
・妊娠可能な女性であれば、必ず妊娠の可能性を考える
・妊娠4週間以降であれば妊娠反応で診断できる
・保険適応ではないが550円程度と安価なので説明して承諾を得る
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【症状、既往歴、身体所見】
【検査所見】
非定型肺炎
マイコプラズマ肺炎- ・非定型肺炎では呼吸器症状がなく、発熱、頭痛、消化器症状などを主訴とする場合がある
【STEP3】薬剤性の可能性を検討する
・薬物の処方歴を確認し、症状出現に先だって開始されたものがないか確認する

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参考文献)
1. 中西重清 德田安春「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
2. 德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
3.鈴木慎吾「外来診療の型」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2020