腹痛

腹痛

【STEP1】緊急性の高い病態(surgical abdomen)を除外

    ・まず、即時に適切な評価と治療をはじめるべき病態を除外する
    ・バイタルとBSチェックを行い、当てはまるものをチェック
    非常に強い腹痛(身動きも困難)
    強い痛みが秒、分単位で出現
    3時間以上の持続痛
    呼吸数>20回/分、血圧低下、発熱、意識障害など
    血糖≧200mg/dL 

判定



    ・突発する広範囲の激痛
    ・腹膜刺激症状を伴う
    ・腹膜あるいは腸間膜に刺激が加わらないように、極力身動きしないようにしている
    ・呼吸もゆっくりと行っていることが多い

    ・突発する広範囲の激痛
    ・腹膜刺激症状や圧痛などの身体所見に乏しい
    ・高齢や心房細動がリスク因子

【STEP2】年齢・性別に伴う疾患リスク

高齢者 女性

判定

★ STEP1で示した検査に加えて妊娠可能な女性では妊娠反応も行う(問診を信用しない)

    ・妊娠可能な女性では必ず鑑別にいれる
    ・嘔吐、下痢などの消化器症状に乏しい
    ・エコーで腹腔内に大量出血を認める

 卵巣出血

    ・多くの場合は性交渉が物理的刺激となって突発発症
    ・下腹部の持続痛を呈する
    ・腹膜刺激症状を認める

 子宮留膿症
    ・婦人科入院患者の0.01-0.5%に認められる比較的稀な疾患
    ・婦人科外来では、60歳以上の13.6%、80歳代で19.1%、90歳代で33.3%と加齢に伴って増加する
    ・穿孔すると腹膜炎を起こす
    ・死亡率は11.4-15%

・上に示す疾患が除外されたらSTEP3へ


【STEP 3】臓器/部位別鑑別診断

    参考文献)
    1.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林
    2.中西重清 德田安春  「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
    3.James Christensen M.D.「腹部診察のベッドサイドロジック」メディカル・サイエンス・インターナショナル 1993 4. 水本一生 他「骨盤腔内膿瘍を呈した子宮留膿症の1例」日外科系連会誌 43(5):971–975,2018