喀血

喀血

◎まずは本当に喀血なのか考える

    ・喀血は多くは咳嗽を伴い、泡状で血性
    ・吐血は多くは嘔気・嘔吐を伴い暗赤色
    ・後咽頭に流れる鼻出血や咽頭出血も喀血に類似する場合がある


痰の量と性状

    大量の喀血 赤錆状喀痰 泡沫状のピンク色の痰 繰り返す大量の血痰

随伴症状

    突然の胸部〜背部激痛 呼吸困難、酸素飽和度低下 発熱
    咳嗽、喀痰 倦怠感 体重減少 盗汗
    胸痛 息切れ・起坐呼吸・浮腫 点状出血、紫斑、鼻腔・口腔からの出血
    経過で胸部外傷がある、あるいは胸部の皮下出血や骨折

理学・検査・画像所見

    血圧の左右差 ばち状指 難治性の肺炎で胸水が存在 肺尖部の散布影を伴う結節影および空洞影
    胸部でラ音聴取、BNP>100pg/ml CRP上昇 D-ダイマー上昇 心尖部の拡張期雑音 肺CTで気管支拡張所見
    皮疹 PT、aPTT、FDP、フィブリノゲン、血液像や末梢血塗抹での異常所見

評価と対応

気管支炎・肺炎

    ・肺炎球菌では赤錆様色の喀痰を認めることがある

結核

肺アスペルギルス症

    ・喀血は肺アスペルギローマの死因の約20%

膿胸

気管支拡張症

気管支原性の腫瘍

心不全(肺水腫)

大動脈解離

肺血栓塞栓症

    ・肺血栓塞栓症で血痰の頻度は6%程度

血管炎

    ・症状は非常に多彩
    ・2週間以上続く発熱や、6ヶ月で6kg以上の体重減少などの全身症状が多い

血液凝固障害

僧帽弁狭窄症

    ・血痰の頻度は低い。心尖部拡張期雑音を聴取した場合には考えてみる

胸部外傷

    参考文献)
    1. 德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
    2. 生坂政臣 監訳「早わざ外来診断術」中山書店 2009
    3. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版」日本医事新報社 2022
    4. 筒泉貴彦 他編集「総合内科病棟マニュアル」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017
    5. 岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.8」メディカルサイエンスインターナショナル 2023
    6. 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会「臨床検査のガイドライン」2021
    7. 岩岡秀昭 他「ここが知りたい 内科外来ハンドブック」中外医学社 2019
    8. 石井義洋「卒後20年総合内科医の診断術 Ver.3」第3版 中外医学社 2024