膿胸

膿胸

    ・胸腔内に膿が貯留した状態
    ・肺炎患者の発熱が遷延するときに胸水が存在すれば疑ってみる
    ・肺炎に伴って生じ、胸腔ドレナージなどの処置が必要となるものは複雑性肺炎随伴胸水と呼ぶ
    ・複雑性肺炎随伴胸水の一部が膿胸である

【評価】

    ・CTでは通常の胸水よりもCT値が高いことが多い
    (試験穿刺)立位での胸部XPで胸腔の30%を超える胸水貯留は穿刺が必要
    ・胸水アミラーゼが高値なら食道破裂を考える

【治療】

    (内科的治療)
    ・起炎菌は口腔内錠剤のグラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌が多い
     ABPC/SBT 3g q6
     CLDM  600mg q8
    ・治療期間は胸部画像で病変がなくなるまで続ける。しばしば2〜3ヶ月以上にわたる。安定すれば内服薬に変更する
    ・側臥位正面像にて厚さ10mm以下であれば内科的治療のみで治癒が期待できる
    ・それ以上であれば胸腔ドレナージを検討する

    (胸腔ドレナージ)
    ・膿胸は上記のような小規模のもの以外では原則的に胸腔ドレナージを行う
    ・肉眼的膿、グラム染色での細菌陽性、胸水pH<7.2、胸水ブドウ糖<40mg/dLのいずれかがあればドレーン留置

    (手術療法)
    ・それでも十分にドレナージできない場合は手術療法(video-assisted thoracic surgery:ビデオ補助胸腔鏡手術)が選択される場合もある
    ・明確な適応基準はない
    参考文献)
    1. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版 :膿胸・肺炎随伴胸水」シーニュ 2019
    2. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版: 膿胸 比嘉 太」日本医事新報社 
    3. 岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.7」メディカルサイエンスインターナショナル 2018
    4. 持永浩史 他「急性膿胸に対する治療方針に関する検討」日呼外会誌 25巻2号 134-138 2011
    5. 藤原俊哉 「胸腔鏡下手術にて治癒した急性膿胸症例の検討」日呼外会誌 25巻2号 160-184 2011
    6. 久保秀文 「当院での膿胸3例の治療経験(胸腔鏡手術の適応に関する検討)」山口医学 第66巻 第1号 25~30 2017