COPD

COPD

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた疾患群の総称であり、喫煙など有害物質に長期間吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患
  • 40歳以上の人口の8.6%の患者がいると推定されている。喫煙者の15〜20%がCOPDを発症する
  • 長期間の喫煙歴があり慢性的に咳、痰、DOEがあれば疑われる

【臨床所見】

(理学所見)

  • 以下の所見は特異度が高く、あればCOPDの可能性は高い
    気管短縮≦4cm 肺の過膨張で横隔膜が下がるため、肺や気管が下に引っ張られて、相対的に気管が短く見える。胸骨上縁と輪状軟骨までの距離。特異度 90% 胸鎖乳突筋の肥大 呼吸補助筋 特異度 88% 剣状突起下の心尖拍動 肺の過膨張で心臓も下に引っ張られて、 心尖拍動が剣状突起付近に移動してくる。特異度97〜99%
  • いずれも感度は低い

(胸部レントゲン)

(診断)

気管支拡張薬吸入後の%FEV1.0≦70%が診断に必要とされるが、臨床的には80%以下となればCOPDと考えて良いと思う

【治療】

  • 禁煙指導は行動医学的に粘り強く行う
  • 慢性期にはLAMA、LABA。喘息合併ではICT、ICT/LABAを検討
  • 前向きRCTにて高用量フルチカゾン(500μg/日)吸入にて、急性増悪の頻度が減少、臨床症状の増悪も軽減できたことが示されている(*1))
  • 吸入にて十分に軽減できない呼吸苦に対して、オピオイドやステロイドの使用が行われている(*2))
  • 進行した呼吸器疾患の症状緩和へのステロイドの効果を示すエビデンスは乏しい。しかし、日本呼吸器学会のガイドラインでも選択肢のひとつとして取り上げられている
    使用法 プレドニゾロン20mg/日あるいはデキサメタゾン2mg以下から開始して漸減し、効果の認められる最小量で維持
  • 肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンの接種
  • 一般的には手洗い、口腔ケアなど
  • HOT療法を行う場合の酸素飽和度の目標は、ガイドライン上は、高CO2血症のある場合は88〜92%、無い場合は94〜98%とされている。しかし、COPD増悪で入院した患者では、酸素飽和度が92%を超えると死亡率は用量依存的に高くなる(93〜96%で死亡リスク1.98、97〜100%で2.97)という報告がある(*3)。遷移する
  • 急性増悪時には速やかに適切な治療を開始する必要がある
参考文献)
  1. Burge PS, et al : Randomised, double blind, placebo con- trolled study of fluticasone propionate in patients with moderate to severe chronic obstructive pulmonary disease : the ISOLDE trial. BMJ 320 : 1297―1303, 2000

  2. 「非がん呼吸器疾患緩和ケア指針2021」 3.Echevarria C, et al : Oxygen therapy and inpatient mortality in COPD exacerbation : Emerg Med J 2021;38:170–177. doi:10.1136/emermed-2019-209257