咳喘息・アトピー性咳嗽・喉頭アレルギー

【咳喘息】

  • 慢性咳嗽の原因の薬50%を占める
  • 気道狭窄がなく、呼吸苦がなく聴診でもwheezeを聴取しない。呼吸機能検査では異常を認めないことが多い
    (診断基準) 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上続き、聴診上wheezeを聴取せず、気管支拡張薬(β2刺激薬など)が有効なもの
  • しかし、臨床上は咳喘息と診断してもいくらかのピークフロー低下が見られる場合があり治療によって改善する。すなわち、まさに気管支喘息の亜型であり、咳喘息と気管支喘息は事実上、連続した疾患概念であると言える
  • 夜間〜明け方に症状が強い
  • 治療は吸入ステロイド(+LABA)。通常、数日以内、遅くとも2週間以内に効果が現れる
  • 気管支拡張薬は有効

診断基準

  • 喘鳴や呼吸困難を伴わない咳嗽が8週間以上持続
    • 聴診上もwheezingやRhonchiを聴取しない
  • 気管支拡張薬が有効

【アトピー咳嗽】

  • 中枢気道に限局した好酸球性炎症。病態は喉頭アレルギーに近い
  • 日本から報告された疾患概念
  • アトピー素因を有する中年の女性に多い
  • 末梢血好酸球増多、IgE高値
  • 咽喉頭のイガイガ感があれば強く疑う
  • 夜間〜明け方に症状が強い
  • 気管支拡張薬無効
  • 「気管支拡張薬が無効な遷延性・慢性咳嗽」であれば疑ってみる
  • 抗ヒスタミン薬は薬60%で有効。吸入ステロイドも用いる

【喉頭アレルギー】

  • 吸入された抗原により喉頭粘膜に生じる季節性または通年性のⅠ型アレルギー疾患
  • 抗原の種類によって季節性と通年性に分類される
  • 乾性咳嗽と咽喉頭異常感を訴える
  • 診断基準は下図に示す
  • 喉頭の器質的疾患、下気道疾患、GERD、後鼻漏症候群を除外する
  • 感冒薬、鎮咳剤、気管支拡張薬は無効で抗ヒスタミン薬が著効する。効果不十分であれば吸入ステロイド剤の追加を検討する
参考文献)
  1. 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019 作成委員会編:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019.メディ カルレビュー社,2019.
  2. 内藤健晴「咳喘息の診断と治療」日耳鼻 専門医通信 117 222-223 2014
  3. 大蔵徳幸「アトピー咳嗽/喉頭アレルギー」日本内科学会雑誌 109巻 10号
  4. 坂本浩一「喉頭アレルギーの診断と治療」日耳鼻 専門医通信 122 70-72 2019