副鼻腔気管支症候群

【定義】

  • 慢性・反復性の好中球性気道炎症を上気道と下気道に合併した病態
  • 上気道の炎症性疾患である慢性副鼻腔 炎に下気道の炎症性疾患である慢性気管支炎
    (chronic bronchitis:CB),気管支拡張症(bron-chiectasis:BE)あるいはDPB(びまん性汎細気管支炎)が合併した病態
  • 上気道と下気道、すなわち、副鼻腔と気管支・細気管支領域における好中球性気道炎症を慢性に来たした病態
  • DPBにおける慢性下気道炎症は呼吸細気管支領域にリンパ球や形質細胞の浸潤と共に泡沫細胞の集簇を認め、中枢気道には慢性の好中球性炎症を認める。細菌感染が合併すると好中球炎症が惹起され,組織傷害により気管支拡張を来たすことで病態が進行する。この組織傷害によりさらに細菌感染が助長され、さらに炎症が増幅され、組織傷害を生じる悪循環に陥る
  • 慢性副鼻腔炎も好中球性炎症を特徴としており、気管支喘息に合併することが多い好酸球性副鼻腔炎とは異なる
  • 1984年に工藤が エリスロマイシン(erythromycin:EM)少量長期療法の有効性を報告した
  • DPBの予後が著しく改善した。5年生存率は1970年代では3%であったが、1985年以降は90%を超えており、DPBは完治し得る疾患となった

【症状と診断】

  • 慢性の湿性咳嗽が特徴
参考文献)
  1. 金子猛「副鼻腔気管支症候群」日内会誌 109:2132~2136,2020