器質化肺炎

器質化肺炎

種々の炎症性肺疾患に見られる病理組織学的診断名

  • 50〜60歳代に多い
  • 臨床像的には抗菌薬に反応しない亜急性の肺炎、あるいは移動する浸潤陰影

【原因】

  • COPDに関連した抵抗力低下や喀痰肺出力低下、炎症の長期持続
  • 閉塞性細気管支炎、閉塞性肺炎
  • T細胞を介した過剰な免疫反応やサイトカイン産生

【分類】

  • 薬剤、膠原病、血管炎、放射線肺臓炎、リンパ腫、感染症(一般細菌、結核、非結核性抗酸菌症、マイコプラズマ肺炎)など様々な疾患と関連しているものを二次性器質化肺炎(secondary organizing pneumonia:SOP)とよぶ
  • 呼吸器感染症の治療後に胸部陰影や炎症反応が遷延または増悪する病態(感染後OP)は呼吸器感染症の5〜10%にみられるとされている
  • 原因が分からないものは特発性器質化肺炎(crypto- genic organizing pneumonia:COP)と呼ぶ

【症状】

  • 咳、息切れ、発熱、倦怠感など
  • 無症状のこともある

【診断】

  1. 臨床所見
    • 抗菌薬に対して反応が乏しい
    • 肺CT)

      • 濃いあるいは淡い陰影が多発。細菌性肺炎と区別しにくい場合もある
      • 多くの陰影が消長を繰り返す
  2. 病理所見
    • 気管支肺胞洗浄あるいは肺生検で検体を採取。病理診断
  3. COPとSOPの鑑別
    • 肺癌(特に浸潤性粘液性腺癌)、抗酸菌症,薬剤耐性菌による細菌性肺炎、非定型肺炎、ウイルス性肺炎、肺クリプトコッカス症、自己免疫性肺疾患(特に血管炎)、慢性好酸球性肺炎、肺梗塞など多数の疾患を除外する必要がある。これらがあればSOP
    • 上記がなければCOP

【治療】

  • 症状や画像所見の程度により経過観察やステロイド投与を検討する
  • ステロイドの適応は慎重に判断すべき

軽症例)

  • PSL(0.5~0.6mg/kg/日)で開始、5〜10mg/週で漸減し、1〜2ヶ月で中断可能

中等症〜重症例)

  • 高用量ステロイド(1mg/kg/日)やメチルプレドニゾロンパルス(500〜1000mg/日)を検討すべき場合がある

【予後】

  • ステロイドが著効し、数週から3ヶ月以内に80%以上が改善する
  • ステロイドの減量・中止で再燃することがある
  • PSL20mg以上で再発してくる場合には、血管炎やリンパ腫によるSOPなどを検討すべき(*2)
参考文献)
  1. 大西康貴 他「感染後器質化肺炎に対するステロイド治療に関する検討」日呼吸誌 11(2),2022
  2. Am J Respir Crit Care Med. 2000:162:571-577