リンパ節腫大

リンパ節腫大


【STEP1】腫大したリンパ節の評価

    ① 本当に腫大しているか
    ・リンパ節腫大の大きさの定義はないが、概ね1〜2cm以上とされることが多い。ここでは一応、以下のようにしておく



    ② 全身性か局所性か
    ・近接していても2つ以上の別のリンパ領域で腫大がみられれば全身性


    ③ 大きさ、自発痛、圧痛、硬さ、可動性、腫大するまでの期間を評価する
    ④ 血液生化学検査を行う

    *一般にリンパ節生検の適応になるのは4〜6週間以上の腫脹であり下記の鑑別で重大な疾患の可能性が高くなければしばらく経過観察するのが一般的

    【STEP2】原因の推定

    ◎ 以下の項目をすべてチェックする

    分布

      局所性 全身性

    (大きさ)

      1cm未満 1cm以上 2cm未満 2cm以上
    *触診では大きさが不明瞭な場合も多い。特に深部のリンパ節は画像検査が必要

    (自発痛、圧痛)

      あり なし

    (硬さ)

      弾性硬

    (可動性)

      良好 不良

    (腫大するまでの経過期間)

      数日 数週〜数ヶ月

    (血液生化学検査の所見)

      炎症反応の亢進 AST、ALT増加 LDH高値 10%以上の異型リンパ球、あるいは50%以上のリンパ球増多
      白血病細胞 汎血球減少 鎖骨上リンパ節腫脹

    (内服中の薬剤)

      アテノロール カプトプリル ヒドララジン キニジン フェニトイン
      カルバマゼピン ペニシリン系、セフェム系抗生剤 ST合剤 アロプリノール

    細菌感染

    ウイルス感染

    血液腫瘍

    癌の転移

    薬剤性

      ・悪性リンパ腫のリンパ節腫大は、無痛性だとされているが、実際は有痛性の場合もある
      ・弾性硬以上のリンパ節腫大は、経時的に増大するのか、それとも縮小していくかを確認する必要がある
    悪性リンパ腫


    ◎ 伝染性単核球症については以下を参照
    伝染性単核球症   


    【STEP3】以上で診断がつかない場合に考慮すべき病態

    ◎ いずれも診断にはリンパ節生検が必要になる


    菊池病   
    結核性頸部リンパ節炎   
    IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患   
      ・ほかに、膠原病(SLE、RA、シェーグレン症候群など)やサルコイドーシスによる反応性のリンパ節腫脹の場合があり、また甲状腺機能亢進症やアジソン病などの内分泌疾患でもみられることがある
    SLE   
    関節リウマチ   
    シェーグレン症候群   
    サルコイドーシス   
      参考文献)
      1.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林
      2.中西重清 德田安春  「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
      3.三浦偉久男「リンパ節腫大の鑑別診断と治療法の選択」日本内科学会雑誌 105巻3号 505-510
      4.若杉哲郎 他「頸部リンパ節生検術114例の臨床的検討」頭頸部外科 24(1):101~107,2014
      5.星川広史「頸部リンパ節腫脹の鑑別」日耳鼻 124:153-154,2021