糖尿病性腎症
  • 糖尿病発症後5〜10年の経過で発症する
  • 本邦の2型糖尿病における腎症罹患率は約40%
  • 糖尿病性腎症例は心血管病変、総死亡のリスクが高い
  • 新規透析導入患者のうち、糖尿病性腎症は40%強であり、慢性透析患者の原疾患の中で最多であり38%程度

【診断】

  • 以下の所見を参考にして診断する
    1. 糖尿病罹病期間5年以上
    2. 網膜症・末梢神経障害の存在
    3. 尿中アルブミンの持続的増加
    4. 糸球体腎炎、腎硬化症などその他の疾患が除外できる
    5. 顕著な血尿、肉眼的血尿、円柱尿などがみられない
    6. 初期ではeGFR高値、腎肥大がある
    7. 高度な腎萎縮をともなわない
  • 糖尿病患者では必ず定期的に尿中アルブミンを評価する
  • 初期にはeGFRはやや上昇する(糸球体過剰濾過)
  • 顕性アルブミン尿の出現とほぼ同時にeGFRの低下がはじまる

【重症度分類】

* 赤に該当すれば、原則的に専門医に紹介する

【治療】

生活改善) BMI<25の維持、禁煙、過度なアルコール摂取を控える。適切な食事、運動療法
血糖コントロール) HbA1c<7.0% SGLT-2阻害薬、GLP-1受動態作動薬の優先的使用
血圧コントロール) 130/80mmHg未満を目標とする。降圧剤としてレニン–アンジオテンシン系阻害薬使用を第一選択薬とする
脂質異常症)LDL-cho<120mg/dLを目標とする

  • タンパク質制限については明確なエビデンスがないが0.8〜1.0g/kg/日が推奨されている
参考文献)
  1. 古家大祐「糖尿病性腎臓病の診断と治療のアップデート」日本内科学会雑誌 112 巻 3 号,2022 
  2. 和田隆志「糖尿病性腎症の臨床」日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 2017
  3. 和田隆志「糖尿病性腎症」日内会誌 102:1152~1158,2013