間質性腎炎

間質性腎炎

  • 病理的学概念であり、糸球体に変化が見られず、尿細管、間質領域に主たる病変が存在する腎炎
  • 急性間質性腎炎と慢性間質性腎炎に分類される

【急性間質性腎炎(acute interstitial nephritis:AIN)】

1. 病因

  1. 感染症に関連するもの
  2. 薬物過敏反応に起因するもの
  3. 自己免疫疾患や全身疾患に伴うもの
  4. 特発性

2. 症状

  • 特異的症状はなく、感冒様症状や全身倦怠感などが初発症状
  • 薬剤性AINの3徴は、皮疹、発熱、関節痛であるがすべて揃うことは少ない
  • 急速に腎機能障害が進行する場合は、食思不振、嘔気・嘔吐などが多い
  • TINU(tubulointerstitial nephritis with uveitis)症候群ではブドウ膜炎を合併し、眼痛、発赤、羞明、視力低下などを認める

【検査所見】

  • 血清クレアチニン値上昇
  • 尿タンパク量は≦1.0g/日が多い
  • 尿中β2-ミクログロブリン、α1ーミクログロブリン、N-アセチルグルコサミニダーゼなどの尿細管性蛋白尿

【診断】

  • 原因不明の急性腎障害で蛋白尿≦1.0g/日の場合はAINを鑑別にいれる
  • 最も確実な診断は腎生検

【治療】

  • 薬剤性AINでは非偽薬の中止。通常、数日以内に腎機能が回復するが、回復しない場合は副腎皮質ステロイド投与を検討する薬剤性AINでは非偽薬の中止。通常、数日以内に腎機能が回復するが、回復しない場合は副腎皮質ステロイド投与を検討する

【治療】

  • 副腎皮質ステロイド薬は、尿蛋白 1g/日以上かつCKDステージ1~2のIgA腎症における腎機能障害の進行抑制ならびに尿蛋白の減少効果を有するため、使用するように推奨する(推奨レード 1B)
  • eGFR30mL/分/1.73㎡以上かつ尿蛋白量0.5g/日以上の場合は、組織学的重症度や血尿の程度、血圧、年齢を考慮した上で、RA系阻害薬や副腎皮質ステロイド薬の投与を検討する(推奨レード 1B)
  • eGFR30mL/分/1.73㎡以上かつ尿蛋白量0.5 g/日未満の場合は、薬物療法なしでの経過観察を基本とする
  • eGFR30mL/分/1.73㎡未満の場合は、血圧や尿蛋白量等を考慮した上でRA系阻害薬での治療を基本とするが、急速進行性の腎機能障害を呈する症例や急性の組織病変がある場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の投与も考慮する
  • 口蓋扁桃摘出術はCKDステージG1—2で尿蛋白が1g/日前後までのIgA腎症患者では臨床的寛解を含めた尿所見の改善効果は期待されるが、腎機能低下の抑制効果については研究結果が一定せず不明。一方,口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス併用療法はCKDステージG1—2で尿蛋白が1g/日を超える場合でも臨床的寛解を含めた尿所見の改善効果は期待できる
  • 血圧は収縮期130mmHg未満、拡張期80mmHg未満を目標とする

【慢性間質性腎炎(chronic interstitial nephritis:CIN)】

  • 尿細管間質の慢性炎症によって組織の線維化をきたし、緩徐に不可逆的な腎機能低下を生じる疾患
  • 原因はAINとほぼ同様

2. 症状

  1. 腎障害が進行するまでは症状に乏しい

【検査所見】

  • 血清クレアチニン値上昇
  • 尿タンパク量は≦1.0g/日が多い
  • 尿中β2-ミクログロブリン、α1ーミクログロブリンの高値
  • N-アセチルグルコサミニダーゼは陰性となる場合も多い

【治療】

  • 薬剤性AINでは被疑薬の中止

【診断】

  • 原因不明の急性腎障害で蛋白尿≦1.0g/日の場合はAINを鑑別にいれる ・最も確実な診断は腎生検

【治療】

対症療法)
  1. 全例でACE阻害薬、あるいはARBを可能なら使用量上限まで投与。効果不十分であればアルドステロン拮抗薬を使用
    • 高血圧がなくても使用。下記のように収縮期血圧<110mmHgとならないように調節
  2. 利尿薬 フロセミド40〜80mg/回 1日2〜3回 作用時間が短いので1日2〜3回投与とし、投与間隔は6時間以上とする
  3. 高血圧 目標は、収縮期血圧110〜125mmHg。110未満となると腎機能増悪リスクとなる
  4. 抗凝固療法
    • 深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、腎静脈血栓症が多い
    • 膜性腎症、Alb<2g/dL、尿タンパク量>10g/24h、循環血流量低下、臥床がちなどがあれば高リスク
  5. アルブミン
    • 高度浮腫、胸水のときの例外的処置
    • 適応は
      1. 循環血流量低下によるショック
      2. 大量の胸水、腹水貯留による呼吸不全
      3. 高度の陰嚢水腫、下肢の浮腫で、歩行・移動が困難
      4. 大量腹水を伴う腹膜炎
      5. 高度浮腫による皮膚断裂
        • 症状のない低アルブミン血症には適応がないばかりか、長期的には腎障害の原因ともなりえる

      0.5〜1.0g/kgのアルブミン製剤を60分以上かけて関与に投与し、その後にフロセミド(成人で20〜80mg)を投与する。最低6〜8時間は感覚をあける


特異的療法)

原発性ネフローゼ症候群 病型に応じてステロイド、免疫抑制剤などを使用

  • 膜性腎症ではステロイドや免疫抑制剤の治療効果を示すエビデンスがない

続発性ネフローゼ症候群 原疾患の治療

参考文献)
  1. 御手洗哲也「間質性腎炎の基礎と臨床」日本内科学会雑誌 第97巻 第9号 2008
  2. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」シーニュ 2019 金子佳賢 成田一衛 急性間質性腎炎、慢性間質性腎炎 
  • 病理的学概念であり、糸球体に変化が見られず、尿細管、間質領域に主たる病変が存在する腎炎
  • 急性間質性腎炎と慢性間質性腎炎に分類される

【急性間質性腎炎(acute interstitial nephritis:AIN)】

1. 病因

  1. 感染症に関連するもの
  2. 薬物過敏反応に起因するもの
  3. 自己免疫疾患や全身疾患に伴うもの
  4. 特発性

2. 症状

  • 特異的症状はなく、感冒様症状や全身倦怠感などが初発症状
  • 薬剤性AINの3徴は、皮疹、発熱、関節痛であるがすべて揃うことは少ない
  • 急速に腎機能障害が進行する場合は、食思不振、嘔気・嘔吐などが多い
  • TINU(tubulointerstitial nephritis with uveitis)症候群ではブドウ膜炎を合併し、眼痛、発赤、羞明、視力低下などを認める

【検査所見】

  • 血清クレアチニン値上昇
  • 尿タンパク量は≦1.0g/日が多い
  • 尿中β2-ミクログロブリン、α1ーミクログロブリン、N-アセチルグルコサミニダーゼなどの尿細管性蛋白尿

【診断】

  • 原因不明の急性腎障害で蛋白尿≦1.0g/日の場合はAINを鑑別にいれる
  • 最も確実な診断は腎生検

【治療】

  • 薬剤性AINでは非偽薬の中止。通常、数日以内に腎機能が回復するが、回復しない場合は副腎皮質ステロイド投与を検討する薬剤性AINでは非偽薬の中止。通常、数日以内に腎機能が回復するが、回復しない場合は副腎皮質ステロイド投与を検討する

【治療】

  • 副腎皮質ステロイド薬は、尿蛋白 1g/日以上かつCKDステージ1~2のIgA腎症における腎機能障害の進行抑制ならびに尿蛋白の減少効果を有するため、使用するように推奨する(推奨レード 1B)
  • eGFR30mL/分/1.73㎡以上かつ尿蛋白量0.5g/日以上の場合は、組織学的重症度や血尿の程度、血圧、年齢を考慮した上で、RA系阻害薬や副腎皮質ステロイド薬の投与を検討する(推奨レード 1B)
  • eGFR30mL/分/1.73㎡以上かつ尿蛋白量0.5 g/日未満の場合は、薬物療法なしでの経過観察を基本とする
  • eGFR30mL/分/1.73㎡未満の場合は、血圧や尿蛋白量等を考慮した上でRA系阻害薬での治療を基本とするが、急速進行性の腎機能障害を呈する症例や急性の組織病変がある場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の投与も考慮する
  • 口蓋扁桃摘出術はCKDステージG1—2で尿蛋白が1g/日前後までのIgA腎症患者では臨床的寛解を含めた尿所見の改善効果は期待されるが、腎機能低下の抑制効果については研究結果が一定せず不明。一方,口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス併用療法はCKDステージG1—2で尿蛋白が1g/日を超える場合でも臨床的寛解を含めた尿所見の改善効果は期待できる
  • 血圧は収縮期130mmHg未満、拡張期80mmHg未満を目標とする

【慢性間質性腎炎(chronic interstitial nephritis:CIN)】

  • 尿細管間質の慢性炎症によって組織の線維化をきたし、緩徐に不可逆的な腎機能低下を生じる疾患
  • 原因はAINとほぼ同様

2. 症状

  1. 腎障害が進行するまでは症状に乏しい

【検査所見】

  • 血清クレアチニン値上昇
  • 尿タンパク量は≦1.0g/日が多い
  • 尿中β2-ミクログロブリン、α1ーミクログロブリンの高値
  • N-アセチルグルコサミニダーゼは陰性となる場合も多い

【治療】

  • 薬剤性AINでは非偽薬の中止

【診断】

  • 原因不明の急性腎障害で蛋白尿≦1.0g/日の場合はAINを鑑別にいれる
  • 最も確実な診断は腎生検

【治療】

対症療法)
  1. 全例でACE阻害薬、あるいはARBを可能なら使用量上限まで投与。効果不十分であればアルドステロン拮抗薬を使用
    • 高血圧がなくても使用。下記のように収縮期血圧<110mmHgとならないように調節
  2. 利尿薬 フロセミド40〜80mg/回 1日2〜3回 作用時間が短いので1日2〜3回投与とし、投与間隔は6時間以上とする
  3. 高血圧 目標は、収縮期血圧110〜125mmHg。110未満となると腎機能増悪リスクとなる
  4. 抗凝固療法
    • 深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、腎静脈血栓症が多い
    • 膜性腎症、Alb<2g/dL、尿タンパク量>10g/24h、循環血流量低下、臥床がちなどがあれば高リスク
  5. アルブミン
    • 高度浮腫、胸水のときの例外的処置
    • 適応は
      1. 循環血流量低下によるショック
      2. 大量の胸水、腹水貯留による呼吸不全
      3. 高度の陰嚢水腫、下肢の浮腫で、歩行・移動が困難
      4. 大量腹水を伴う腹膜炎
      5. 高度浮腫による皮膚断裂
        • 症状のない低アルブミン血症には適応がないばかりか、長期的には腎障害の原因ともなりえる

      0.5〜1.0g/kgのアルブミン製剤を60分以上かけて関与に投与し、その後にフロセミド(成人で20〜80mg)を投与する。最低6〜8時間は感覚をあける


特異的療法)

原発性ネフローゼ症候群 病型に応じてステロイド、免疫抑制剤などを使用

  • 膜性腎症ではステロイドや免疫抑制剤の治療効果を示すエビデンスがない

続発性ネフローゼ症候群 原疾患の治療

参考文献)
  1. 御手洗哲也「間質性腎炎の基礎と臨床」日本内科学会雑誌 第97巻 第9号 2008
  2. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」シーニュ 2019 金子佳賢 成田一衛 急性間質性腎炎、慢性間質性腎炎