脱水と高Na血症

脱水と高ナトリウム血症

1. 脱水と循環血流量低下の評価

  • 「脱水」は細胞内の水分量が減った状態
  • 血清浸透圧の正常値は280〜290mOsm/kg
  • BUN/Cr比>20はvolume depletion(血管内容量が減った状態)の指標である
    血清Na(mEq/L)   
    血糖(mg/dl)    
    BUN(mg/dl)    
    CRN(mg/dl)    
    体重(kg)      
      
    性別  男性 女性
    高Na血症の場合、補正に用いる輸液の種類 リンゲル液 1号輸液 5%ブドウ糖
       

BUN/CRN  

血清浸透圧概算  

2. 高Na血症の場合に各種輸液1Lあたりで期待される血清Na値を評価する   


自由水欠乏量  

輸液1Lあたりの血清Na濃度低下  

    (解説)
  • 自由水欠乏量は上昇した血清Na値を正常に戻すのに必要な水分量
  • 脱水は細胞内の水分量が減った状態
  • 脱水の定義は一般的に血清浸透圧>250mOsm/kg
  • BUN/Cr比>20はvolume depletion(血管内容量が減った状態の指標)である

【治療】

  • 48時間以内の急性の高Na血症では2〜3mEq/L/hrで補正し、24時間以内に正常化を目指す。ただし、2-4時間ごとに血液検査をして補正速度を調整する
  • 循環血流量減少性の高Na血症では高度な脱水を伴う場合が多く、リンゲル液や1号輸液を用いて脱水補正を優先する。脱水が補正されれば5%ブドウ糖を用いる
  • 無症候性低Na血症: 血清Na値の補正は0.5mEq/L/時以下とする
  • 症候性低Na血症: 症状がなくなるまで最初だけ迅速投与(最初の2-3時間の血清Na値補正は2mEq/L/時
  • 補正するNaの上昇は1日に10mEq/L未満とする。特に慢性的低Na血症患者の補正では注意する
    (解説)
  • 高Na血症の神経症状は意識障害、脱力、認知機能の低下、筋緊張の低下や振戦・固縮など
  • 急性の高Na血症で急激に補正してよいのは、水分シフトが起こらず、脳浮腫を生じないためである

3. 尿浸透圧の概算

尿比重末尾の2桁  


尿浸透圧(mOsm/kg): 基準値50〜1300

    参考文献)
    1. 上田剛士「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」Signe 2019
    2. 筒泉貴彦「総合内科病棟マニュアル」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017